アリババグループの CEO を務める Eddie Wu 氏は、2026年9月22日に浙江省杭州市で開催された「 2026年 Apsara Conference 」の基調講演に登壇し、チップ・ AI モデル・クラウドインフラを一体で展開する AI 戦略の全体像を明らかにしました。
今回の目玉となったのが、独自開発の次世代 AI チップ「 Zhenwu V900 」です。アリババ傘下の半導体部門「 T-Head 」が手がけた同チップは、前世代モデルと比べて処理性能が 3 倍に向上したとされています。メモリ容量は 216 GB と、 Nvidia の主力チップ H200 (最大 141 GB )を 5 割以上上回る水準で、大規模な AI モデルのトレーニングや推論処理を支援する設計です。最大 50 万枚のチップを 1 つのクラスターとして束ねることもできます。量産・商用出荷は 2027 年第 1 四半期を予定しており、既存の Zhenwu チップはすでに自動車・金融・エネルギー・製造業など 650 社以上に採用されています。一方、演算性能の詳細や製造プロセスについては非開示となっており、公表された数値はあくまでアリババ側の発表に基づくものです。
AI モデルの開発計画についても大きな方向性が示されました。現在は次世代モデル「 Qwen 4 」の開発を進めており、さらにその先の「 Qwen 4.5 」「 Qwen 5 」では、モデルの規模を現行の約 2 〜 4 倍にあたる 5 兆〜 10 兆パラメータまで引き上げる見通しです。 Wu CEO は「人工超知能( ASI )の実現に向けた道筋が見えてきた」と語り、自律的に性能を高める「再帰的自己改善( RSI )」の研究でも前進があったと説明しました。オープンソースとして公開されている Qwen モデルは累計 30 億回以上ダウンロードされており、世界中の開発者に広く使われています。
インフラ面では、 2032 年までにグローバルなデータセンターの総容量を 20 ギガワット超に拡大する計画を発表しました。また、ブラジルのサンパウロに同社初のラテンアメリカ向けクラウド拠点を開設することも明らかにしています。
一連の発表を受け、アリババの株価は約 5 % 上昇しました。今回の V900 発表は、米国の輸出規制によって高性能チップの調達が制限されるなか、中国が独自の半導体開発を着実に進めていることを示す動きとして注目されています。中国国内の AI チップ市場における国産品のシェアは、 2022 年のほぼゼロから 2025 年には 41 % まで拡大しており、その勢いは加速しています。
