イーロン・マスク氏傘下の「SpaceXSI(SpaceX Super Intelligence)」は、2026年11月4日に AI アシスタント「Grok Bot」の電話発信機能を正式公開しました。マスク氏が10月25日に X で予告してから約10日でのリリースです。
この機能を一言で表すなら、「面倒な電話を代わりにかけてくれる AI 秘書」です。予約の取得やサービス料金の交渉など、保留音を聞きながら待つ必要があった手間のかかるやりとりを Grok Bot が引き受けます。通話中の会話はリアルタイムで文字起こしされ、Bot が答えられない質問が生じた場合はユーザーに通知が届く仕組みです。ユーザーはテキストで返答を入力し、Bot を通じて相手に伝えられます。通話後は内容の要約が手元に届きます。現時点では米国内からの発信のみ対応しており、ワシントン州とイリノイ州は利用できません。
料金は X の有料プラン( Premium・Super・Ultra )に含まれており、 SuperGrok であれば月額 30 ドル(約4,500円)から使えます。
便利な機能ではありますが、利用規約には重要な条件が設けられています。2026年10月31日付で更新された規約の第2.7条には、「通話の発信者としての法的責任はすべてユーザーが負う」と明記されています。Bot が電話をかけていても、法的にはユーザー自身が発信したとみなされる点は、特にビジネス利用を検討する場合に押さえておくべき点です。
アメリカではこれは単なる免責条項ではなく、現実的なリスクを伴います。 FCC は 2024年 2月 8日に AI 生成音声を米国の迷惑電話規制法「 TCPA 」の対象と正式に位置づけており、無断発信 1 件あたりの法定損害賠償は 500〜1,500 ドル(約75,000〜225,000円)です。大量発信を行えば賠償額は青天井で膨らみます。加えて、より厳格な同意撤回ルールが 2026年 11月 25日に施行予定であり、業務での活用を考える場合は事前に法務部門へ相談しておくことが賢明です。
技術面では、2026年 10月 14日に公開された「Grok Voice 3.0」が基盤となっており、 800 ミリ秒未満という応答速度を実現しています。すでに Starlink のコールセンターで 1日 2万件の問い合わせを処理しており、そのうち約70%が人手を介さず完結しています。 Meta も同様の音声エージェント機能を開発中であり、AI が電話を代行する市場での競争は今後さらに激しくなりそうです。
