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非常に自然な音声 AI「Dessa」——学習データは人間の会話のみ

非常に自然な音声 AI「Dessa」——学習データは人間の会話のみ
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Block は 2026 年 10 月 23 日、人間同士の会話録音だけを学習に使った音声 AI モデル「Dessa」を発表しました。同日、Twitter の共同創業者でもある Block の CEO ジャック・ドーシーが X でこのモデルを紹介し、翌日までに約 410 万回閲覧されました。

開発チームは、ラガバン・トゥーライラトナムを中心とした研究者 6 名とインターン数名という小さな組織です。もともとトロントで活動していたスタートアップ「Dessa」が母体で、2019 年にリアルなジョー・ローガンの偽音声を作成して話題になったことで知られています。Square(現 Block)が 2020 年 2 月に買収し、現在に至ります。

Dessa が従来の音声 AI と大きく異なるのは、音声から音声へ直接処理する点です。テキストへの変換をはさまないため、感情の起伏、皮肉のニュアンス、笑い声、言いよどみといった、文字では表しにくい情報をそのまま扱えます。また、人間と同様に話しながら相手の声を聞き続けられるため、自然なタイミングで相槌を打ったり、会話の途中で笑ったりすることができます。公開されたデモ映像では、サプライズ旅行の話を聞かされた際に思わずため息をつくような、細かい感情表現も確認できます。

注目すべきはその動作環境の軽さです。学習に使ったのは NVIDIA の高性能 GPU ラック 1 台のみで、大規模テキスト AI が通常必要とする数万台規模のコンピュータとは対照的です。また、ハイエンドのノートパソコン(MacBook Pro M4 Max 相当)があれば手元で動かせるほど軽量で、クラウドへの依存度を下げられる点はビジネス活用においても利点になりえます。

現時点では、大学や研究機関に所属する AI 安全性研究者を対象にした限定プレビューの段階です。価格や API の詳細、モデルの仕様は一切公表されておらず、一般公開の時期も未定です。

利便性が高まる一方で、リスクへの懸念も無視できません。FBI が 2026 年 4 月に公表した 2025 年のインターネット犯罪報告書によると、AI 関連の被害総額は 8 億 9,300 万ドル(約 1,339 億円)に達し、家族の声を模倣した音声詐欺だけで 500 万ドル(約 7 億 5,000 万円)超の被害が報告されています。EU では AI 規制法により、一部の感情認識 AI の利用を禁じるとともに、AI と会話していることをユーザーへ明示することを義務づけています。

Dessa はまだ開発途上にあり、デモ映像でもぎこちない受け答えが見られる場面があります。とはいえ、このモデルの意義は「AI が人間と区別がつかないほど話せる」ことの実証よりも、音声だけで学習するアプローチが実用的な技術として成立しうることを示した点にあります。