OpenAI は 2026 年 10 月 26 日、社内で開発中の未公開 AI モデルが、数学・コンピュータサイエンス(計算機科学)・物理学の 3 分野でそれぞれ重大な研究成果を生み出したと発表しました。外部の専門家グループが現在検証を進めており、査読はまだ完了していません。
数学の分野では、 1991 年から未解決だった「局所平滑化予想」を、あらゆる次元で証明したと発表しました。これまで人間の研究者が達成できていたのは 2019 年における 2 次元での証明のみで、調和解析を専門とするロチェスター大学のアレックス・イオセヴィッチ教授はこの成果を「歴史的な発展」と表現しています。
計算機科学の分野では、 1999 年に提唱された「指数時間仮説(ETH)」を覆す反証を発見したとしています。ETH はコンピューターがある種の問題を解くのにかかる時間の限界に関する理論で、グラフ処理やデータベース検索の効率化など、幅広い研究の前提として使われてきました。興味深いことに、 Anthropic の Claude も同日付で、人間の関与なしに同じアルゴリズムを独自に発見したとする論文を公開しています。検証は ETH の提唱者である UC サンディエゴの Russell Impagliazzo 氏らが担いますが、両氏は「私たちの参加は、この主張を認めたことを意味しない」と公開書簡で明記しています。
物理学の分野では、世界的に著名な未解決問題のひとつである「ヤン=ミルズ理論の存在証明」を生成したと発表しました。これはクレイ数学研究所が設定したミレニアム懸賞問題の一つに含まれます。ノーベル物理学賞受賞者のデイヴィッド・グロス氏を含む専門家グループが検証にあたっており、現時点では内容の一般公開を保留しています。ただし懸賞の条件は「存在証明」と「質量ギャップの証明」の両方を満たすことが必要で、 OpenAI は後者の解決は主張しておらず、 100 万ドルの賞金はまだ誰にも授与されていません。
OpenAI はこれらの成果に対して学術的な功績を求めないとしており、検証にあたる研究者には秘密保持契約も報酬も課さず、データはすべて公開される予定です。同社は Simons 財団に 500 万ドル(約 7 億 5,000 万円)を提供し、成果の意義を議論するワークショップの開催を支援します。また 2026 年 10 月 15 日には、 Simons 財団・Anthropic・OpenAI の 3 者が合計 1,500 万ドル(約 22 億 5,000 万円)の共同支援プログラムを発表しており、両 AI 企業がそれぞれ 500 万ドルを拠出しています。
これら 3 つの成果のうち一つでも外部審査を通過すれば、 AI が人間の専門家にしかできないとされてきた独創的な科学的発見を、自ら生み出せるようになったことを示す歴史的な事例になり得ると、専門家たちは指摘しています。
