中国の AI 企業 MiniMax は 2026 年 10 月 19 日、新しい AI モデル「 M3.1 Flash 」を正式に公開しました。同社は 2021 年 12 月に上海で設立されており、2026 年 1 月には香港証券取引所への上場を果たし、約 HK$48 億(約 930 億円)の資金を調達しています。
今回の正式リリースにあわせて、一つの「謎」も解明されました。 9 月 23 日から AI モデル配布プラットフォームの OpenRouter 上で「 Space Bunny Alpha 」という名称で公開されていた正体不明のモデルが、実は M3.1 Flash の初期バージョンだったと MiniMax が認めたのです。この匿名モデルは公開からわずか 3 日で OpenRouter の 1 日あたり利用量ランキングの首位を獲得しており、業界内で注目を集めていました。
モデルの性能面では、一度に処理できるテキストの上限が 100 万トークンと非常に大きく、文章だけでなく画像や動画も入力として扱えます。処理速度は 1 秒あたり 200 トークン以上で、前世代モデルの約 3 倍に向上しています。
導入コストの低さも大きな特徴です。利用料金は入力 100 万トークンあたり $0.15(約 22.5 円)、出力 100 万トークンあたり $0.60(約 90 円)で、前モデルと比べて通常の使い方では半額、長文処理では 4 分の 1 程度の費用で済みます。独立した評価機関 Artificial Analysis の調査では、同等タスクあたりのコストが約 57 % 削減されたと報告されています。
ただし、性能評価は手放しでは喜べない結果も含んでいます。 Artificial Analysis の独立テストでは「ハルシネーション率」が 93 % に達しました。これは、モデルが答えを知らない場合でも「わからない」と正直に答えず、自信を持って誤った情報を返してしまう傾向の高さを示す指標です。正解率そのものは 56 % と競合モデルより高いのですが、業務での自律的な活用を想定する場合、回答の事実確認や人間によるチェックの仕組みを別途設けることが欠かせません。
MiniMax はさらに高性能な上位モデルの開発も予告しており、モデルデータのオープンソース公開は 2026 年 10 月 23 日を予定しています。コストを抑えつつ高速処理が求められる場面では有力な候補となりますが、精度の高い情報を扱うビジネス用途では、信頼性を担保する運用設計が必要と言えそうです。
