コンテンツデリバリー・クラウド大手の Akamai Technologies は 2026年9月24日、AI 開発企業 Anthropic との大型クラウド契約を発表しました。契約期間は 7 年間、金額は 116 億ドル(約 1 兆 7,400 億円)で、Akamai にとって過去最大の契約となります。さらに 90 億ドル(約 1 兆 3,500 億円)の拡張オプションも設けられており、最大で 200 億ドル(約 3 兆円)規模に膨らむ可能性があります。
今回の契約で注目すべきは、AI インフラの主役ともいえる GPU ではなく、CPU に特化している点です。AI が単純な画像認識や言語処理にとどまらず、コードの実行やウェブ検索といった複雑なタスクを自律的にこなす「AI エージェント」へと進化するなかで、汎用的な処理を得意とする CPU の需要が急速に高まっています。Anthropic はこの需要に対応するため、Akamai の分散クラウドインフラを活用する方針です。
財務面での影響も見逃せません。Akamai は契約対応のため 2026 年の設備投資を約 17 億ドル(約 2,550 億円)積み増す予定で、売上への本格的な貢献は 2027 年下半期から始まる見通しです。2028 年末には年間約 17 億ドル(約 2,550 億円)のペースに達するとされており、2025 年のクラウド部門収益 3 億 1,400 万ドルと比べると、その成長幅は際立っています。
契約にはユニークな仕組みも盛り込まれています。Akamai は Anthropic に対し、自社株式の約 5% に相当する 770 万株を取得できる株式ワラントを発行しました。Anthropic の利用額が増えるほど権利確定が進む設計で、通常はインフラ企業が AI 企業に出資するパターンが多いなか、今回は逆に顧客側が供給企業の株式を取得できるという珍しい構造になっています。
この発表を受け、Akamai の株価は即日 20% 超上昇しました。モルガン・スタンレーやグッゲンハイムをはじめ複数のアナリストが目標株価を引き上げており、市場の評価は総じて好意的です。ただし、契約は Akamai が納品・サービス品質の要件を満たすことが前提であり、条件次第でいずれの企業も解約できる条項も含まれています。契約の完全な履行には、今後の実行力が問われることになります。
