AI倫理・規制・セキュリティ Anthropic 政府・行政

【 Breaking News 】連邦控訴裁、国防総省による Anthropic のブラックリスト指定を支持

【 Breaking News 】連邦控訴裁、国防総省による Anthropic のブラックリスト指定を支持
文字サイズ

米国の AI 企業 Anthropic が、トランプ政権の国防総省(DOD)と争ってきた訴訟で、大きな壁にぶつかりました。ワシントン D.C. 連邦控訴裁判所は 2026 年 9 月 25 日、DOD による Anthropic のブラックリスト指定を有効とする判決を 2 対 1 で下しました。これにより、同社の AI モデル「Claude」はペンタゴン内での利用が引き続き認められない状態が続きます。

そもそもの対立は、DOD が AI 契約に「あらゆる合法的利用を認める」という条件を求めたことに始まります。これに対し、Anthropic の CEO ダリオ・アモデイ氏は「良心的に応じることができない」として拒否しました。同社が守ろうとしたのは、完全自律型 AI 兵器(人間の判断を介さない武器システム)への利用禁止と、国内での大規模な市民監視への利用禁止という 2 つのルールです。どちらも、AI の信頼性がまだ十分でないという判断から設けているものでした。

交渉が決裂すると、ヘグセス国防長官は 2026 年 3 月 3 日、Anthropic を「サプライチェーンリスク」に指定。180 日以内に省内システムから排除し、国防関連の請負業者にも Anthropic との取引を禁じました。

今回の控訴審判決で多数意見を書いたグレゴリー・カツァス判事は、「DOD が自社モデルの使い方に制限を設けようとするのは合理的な懸念だ」と認め、Anthropic に悪意がなくても指定は正当だと結論づけました。反対意見を書いたヘンダーソン判事は、「倫理基準を持つこと自体はセキュリティ上の脅威ではない」と批判しています。

一方、2026 年 8 月 28 日にはサンフランシスコ連邦地裁が、今回とは逆に DOD のブラックリスト指定は違憲(修正第 1 条違反)と判断しています。この判決があるため、DOD 以外の政府機関や防衛請負業者は引き続き Anthropic と取引できる状況です。

ビジネスへの影響は小さくありません。Anthropic は 2026 年 5 月末に払込後評価額 9,650 億ドル(約 144 兆 7,500 億円)の資金調達を完了し、IPO も視野に入れています。今回の判決は、成長を狙うエンタープライズ事業に水を差す形となりました。

対照的に、Anthropic がブラックリストに指定された数時間後、OpenAI は軍の機密ネットワークへの展開契約を発表しました。ただし、OpenAI 自身も国内監視や自律型兵器に関する制限を契約に盛り込んでいると説明しており、Anthropic が守ろうとしたルールと実質的に大差ない内容です。

Anthropicは今後、全 11 名の判事による再審理の申請か、最高裁への上訴を検討するとみられます。