Google DeepMind は 2026 年 9 月 16 日、汎用人工知能(AGI)の到来に社会がどう備えるかを研究する社内シンクタンク「DeepMind Institute(DMI)」を立ち上げました。
運営を率いるのは、同社共同創業者でチェアマンの Demis Hassabis、AGI 研究の責任者である Shane Legg、そして Google の上級副社長 James Manyika の 3 名です。AGI 時代に生じる技術的・社会的な問いに、分野横断で取り組むことを目指しています。
設立に合わせて 5 本の論文も公開されました。中でも注目を集めているのが、雇用への影響を踏まえた経済政策の研究です。実在する経済学者 51 名のデータをもとに AI エージェントを使った分析を行い、よく議論に上がるベーシックインカム(UBI)は「コストが高いわりに効果が薄い」と結論づけています。代わりに提案されているのが、市民が生産的な資産に直接投資できる仕組み「ユニバーサルベーシックキャピタル(UBC)」です。
また Hassabis は、米国政府が主導する AI の基準策定機関の創設を提唱しています。開発者はモデルを公開する最大 30 日前に情報を提出し、場合によっては業界全体で開発ペースを意図的に落とすことも選択肢に含めるべきだとしています。
一方、Legg は同日、「 2028 年までに最小限の定義における AGI が実現する確率は 50 % 程度」という個人的な見通しを示しました。「AI の能力が、それを管理する安全策を超えてはならない」とも述べており、Anthropic CEO が提唱するリリース速度の抑制案についても「方向性として検討に値する」と前向きな姿勢を見せています。
DMI は外部の研究者にも開かれており、掲載論文の見解が必ずしも Google の公式方針を反映しているわけではないことも明記されています。設立の背景として見逃せないのが、AI の政府監督に関する構想が 2026 年 8 月、業界のロビー活動によってトランプ政権下で立ち消えになった経緯です。民間主導で議論の場を作ることへの危機感が、この動きを後押ししたとも言えます。
