米国の保険会社が支援する非営利団体「道路安全保険研究所( IIHS )」は 2026 年 7 月、 Waymo の自動運転車両が引き起こす交通事故の件数が、人間ドライバーと比べて 68 %少ないとする調査結果を公表しました。自律走行と人間の運転を比較した研究としては、これまでで最も大規模なものです。
今回の調査では、 Waymo が 2021 年から 2024 年にかけてサンフランシスコ、フェニックス、ロサンゼルス、オースティンの 4 都市で走行した 5,000 万マイル分のデータを、同期間に人間ドライバーが走行した 2,220 億マイルのデータと照合しました。事故の種類別に見ると、単独事故は 85 %減、けが人が出た事故は 81 %減という結果が出ています。都市ごとのばらつきも大きく、フェニックスで 76 %減、ロサンゼルスで 71 %減、サンフランシスコで 35 %減となっています。オースティンのみ 4 %高い数値となりましたが、走行サンプルが少ないことが要因とみられています。
この調査が単なる自社データと異なるのは、比較条件を丁寧にそろえている点です。自動運転車両の事業者には従来、駐車場での軽微な接触事故でも連邦機関への報告義務がありましたが、一般の人間ドライバーにそうした義務はありません。 IIHS はこの報告基準のズレを補正し、人間が運転していれば警察に届け出るレベルの事故だけを比較対象に絞りました。これにより、独立機関による客観的な比較が初めて実現しています。
IIHS 会長のデビッド・ハーキー氏は「疲れや飲酒、注意散漫といったリスクを抱える人間ドライバーと比べ、無人車の安全性は実証されつつある」とコメントしました。ただし、主任研究員のエリック・テオ氏は楽観的な見方を戒めており、今回の知見はあくまで現在の技術と対象 4 都市に限ったものであり、気候や道路環境が異なる地域でも同様の成果が出るかはまだわからないと指摘しています。
一方で今回の研究は、業界が抱えるデータ開示の問題も浮き彫りにしました。米国では自動運転システムが関わる事故の報告は義務化されていますが、走行距離を自ら公開している企業は、主要なロボタクシー事業者の中で Waymo だけです。走行距離がわからなければ事故率を正確に算出できず、企業間の比較もできません。業界全体での情報開示ルールの整備が急務となっています。
Waymo は 2026 年中にワシントン D.C. でも自律ライドシェアサービス「 Waymo One 」を展開する計画を進めており、今回の第三者調査による裏付けは、規制当局との交渉においても強力な材料になるとみられています。
