中国のテクノロジー大手 Tencent は 2026 年 7 月 6 日、同社の AI モデル「 Hunyuan Hy3 」を正式リリースしました。商用利用を含め幅広く活用できるオープンソースライセンス( Apache 2.0 )のもとで公開されており、リリースから 2 週間は無償で API を試せる期間も設けられました。
技術的な特徴として注目されるのは、処理に必要なパラメータを絞り込む「 MoE(Mixture of Experts)」と呼ばれる設計手法の採用です。モデル全体のパラメータ数は 2,950 億と大規模ですが、実際の推論時に動作するのはそのうち 210 億分のみで、処理効率を高めています。前世代のモデルよりパラメータ数を削減しながら、複雑なタスクをこなすエージェント機能やコード生成の性能は向上したと報告されています。
今回の正式版に先立ち、 2026 年 4 月 23 日にプレビュー版が公開されていました。その後 50 以上の製品・サービスから収集したフィードバックをもとにモデルの精度を磨き直した結果、誤った情報を生成する「ハルシネーション」の発生率が 12.5 %から 5.4 %へと半減以下に改善されています。また、会話が長くなるほど回答品質が落ちる問題も大幅に緩和されました。
実際のビジネス利用における効果も示されています。 Tencent の企業向けプラットフォーム「 WorkBuddy 」での導入事例では、 AI がタスクを完了できる割合が 72 %から 90 %に向上し、処理時間も平均 34 %短縮されました。プレビュー版公開後、日次の利用量は 20 倍に拡大しており、採用が急速に広がっていることが伺えます。
一方で課題も残ります。競合の Zhipu AI が 2026 年 6 月中旬にリリースした GLM-5.2 は、プログラムのバグ修正能力を測る SWE-bench Verified と呼ばれる評価で 84.2 を記録しており、 Hy3 の 78.0 を上回っています。コーディング特化の用途では、現時点で Hy3 が優位とは言えず、どこまで利用が広がるかは未知数です。
料金面では、入力トークン 100 万件あたり 1 元、出力トークン 100 万件あたり 4 元と低コストを意識した価格設定となっています。
