AI 開発企業の Anthropic が 2026 年 6 月 9 日に公開した最新モデル「Fable 5」をめぐり、リリースからわずか 3 日後に米商務省の規制を受けてサービス提供が停止されていた問題で、7 月 1 日に規制が正式に解除され、世界向けの提供が再開されました。
規制のきっかけとなったのは、Amazon の研究者が安全対策を意図的に回避する手法、いわゆる「ジェイルブレイク」を発見したことでした。この手法を使うことで、システムのセキュリティ上の弱点を見つけたり、その脆弱性を突くためのコードを出力させたりできる可能性があるとして、米商務省が緊急対応を求めました。
一方で Anthropic は、同様の手法が OpenAI の GPT-5.5 や中国の Kimi K2.7 といった他社モデルにも通用することを独自に確認しており、「Fable 5 に固有のリスクではない」との立場を示しています。
規制は 18 日間続き、業界内外からは異議の声も上がりました。元 Facebook のセキュリティ責任者であるアレックス・スタモス氏を含む 100 人以上のサイバーセキュリティ専門家は連名で公開書簡を提出し、「中国の AI モデルが急速に追い上げる中、防御側から優れたツールを取り上げることは逆効果だ」と警告しました。
規制解除の条件として、Anthropic は問題の手法を 99%以上の確率で自動的に検知・遮断する新しいフィルタリング機能を開発しました。この機能は、米商務省傘下の AI 標準イノベーションセンター(CAISI)による検証を受けています。
また Anthropic は今後、セキュリティリスクの早期検知、政府による基準づくりへの協力、不正利用に関する情報提供の 3 点について、政府に協力することを約束しています。
ただし、新しいフィルタリング機能の導入により、通常のコーディング作業においても、誤って制限がかかるケースが増える可能性があります。この点は、開発者や企業ユーザーにとって留意すべきポイントです。
Fable 5 の料金は、入力 100 万トークンあたり 10 ドル(約 1,500 円)、出力 100 万トークンあたり 50 ドル(約 7,500 円)となっています。利用は Claude Platform、Claude.ai、Claude Code、Claude Cowork から可能です。
今回の規制解除により、Fable 5 は再びグローバル市場で利用可能となりました。一方で、AI モデルの安全性、輸出規制、サイバーセキュリティ上のリスク管理をめぐる議論は、今後も続くとみられます。
