中国の AI 企業 DeepSeek が、2026年8月12日に最新モデル「 DeepSeek V4 Pro 」を正式リリースしました。プレスリリースやブログ投稿といった公式告知は一切なく、 API ドキュメントの更新という形でひっそりと公開されたのが印象的です。
このモデルは 2026年4月24日からプレビュー版が提供されており、今回はその正式版にあたります。処理できるテキストの量は最大 100 万トークンと非常に大きく、長文の契約書や膨大なコードベースを一度に扱えるのが強みです。ただし現時点では画像の読み取りには対応しておらず、テキスト専用となっています。
注目すべきはその価格です。テキスト入力に対するコストは 100 万トークンあたり $0.435 (約65円)、出力は $0.87 (約131円)で、この価格は 2026年5月23日に正式に確定しました。競合にあたる Claude Fable 5 が入力 $10 (約1,500円)・出力 $50 (約7,500円)であることを踏まえると、混合レートで約46倍の開きがあります。コスト削減を重視する企業にとっては、無視できない選択肢といえるでしょう。ただし、 DeepSeek は 2026年8月17日からピーク・オフピーク料金制を導入予定で、時間帯によっては最大12倍の料金が適用される見込みです。
性能面では、業界標準の総合指標である Artificial Analysis Intelligence Index でスコア 53 を記録しました。トップクラスの Claude Opus 5 (スコア 63 )や GPT-5.6 Sol (スコア 61 )には及ばないものの、価格を考慮したコストパフォーマンスでは高い評価を得ています。プログラムのバグ修正能力を測る SWE-bench Verified では 96.40% を達成し、 Claude Opus 5 ( 97.00% )に次ぐ世界第 2 位でした。評価にかかるコストも 1 回あたり $0.022 (約3.3円)と、 Claude Opus 5 の $1.29 (約194円)と比べて格段に安く抑えられています。
同社はモデル単体の提供にとどまらず、開発者向けのツール整備にも動いています。 2026年8月13日には、 AI が自律的に複数の作業を連続して実行できる「 DeepSeek Harness 」のプレビュー版をオープンソースで公開しました。公開からわずか 3 日間で 712 のプロジェクトが参加を申し込んでおり、開発者からの関心の高さがうかがえます。
一方で課題もあります。急増する利用者に対して同社の GPU リソースが追いついておらず、処理速度の低下が一部で報告されています。低価格・高性能という訴求力は明確ですが、安定した商用利用に向けてはインフラ面の拡充が今後の焦点となりそうです。
