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Amazon、AIショッピングアシスタント「Alexa for Shopping」を発表——Rufusは廃止へ

Amazon、AIショッピングアシスタント「Alexa for Shopping」を発表——Rufusは廃止へ
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Amazon は 2026 年 5 月 13 日、新しい AI ショッピングアシスタント「Alexa for Shopping」を米国の全顧客向けに発表しました。Amazon Shopping アプリや Web サイト、Echo Show デバイスへの展開が順次始まります。

新サービスは、これまで別々に運用されていた「Rufus」と音声アシスタント「Alexa+」を統合したものです。Rufus は Amazon が独自開発したショッピング特化型の AI チャットボットで、商品の検索・比較・レコメンドといった購買判断の支援に絞って設計されていました。汎用的な会話 AI とは異なり、「何を買うか」を決める場面に特化した点が特徴です。Rufus 単独のサービスは終了しますが、商品レコメンドや購買履歴のデータは新サービスに引き継がれます。

Rufus は 2024 年 2 月にベータ版として登場し、2025 年には 3 億人以上が利用するサービスへと成長しました。2025 年 2 月の決算発表では、年間換算で約 120 億ドル(約 1 兆 8,000 億円)の売上貢献が報告されています。しかし業績とは裏腹に、CEO アンディ・ジャシー氏が 2025 年に公開した約 5,000 語に及ぶ株主向け年次書簡では、Rufus の名前は一度も登場しませんでした。一方で Alexa は AI 戦略を語る文脈で 6 回言及されており、Amazon 社内における両者の優先度の差は明らかです。一般消費者への認知度も Alexa のほうが圧倒的に高く、「Rufus」というブランド名をあえて前面に出す理由は乏しかったとも読み取れます。今回の統合は、こうした社内の優先順位とブランド戦略を整合させた動きといえます。

今回の新機能は実用的な点が多く、検索欄に通常の言葉で話すように入力していけば目的の商品を探すことができます。複数商品の比較や価格の自動追跡のほか、設定した価格を下回った時点で自動購入する機能、日用品を定期発注するスケジュール機能も用意されています。「Buy for Me」を使えば、登録済みのクレジットカードと住所を使って AI に購入手続きを代行してもらうことも可能です。利用にあたっては Amazon にログインすればよく、Echo 端末や Prime 会員資格など特別な有料サービスへの登録は不要です。

こうした動きの背景には、ChatGPT や Google Gemini で商品を調べる消費者が増えているという競合環境があります。情報収集から購入までを Amazon の中で完結させることで、ユーザーを自社プラットフォームに引き留める狙いがあります。アメリカの調査会社 Gartner のアナリスト、ブラッド・ジャシンスキー氏は「Alexa は Rufus よりブランド認知度が高く、前面に出すことで利用拡大につながる」と見ています。Morgan Stanley は、米国の AI 活用コマース市場が 2030 年までに 1,900 億〜3,850 億ドル(約 28 兆 5,000 億〜57 兆 7,500 億円)規模に成長すると予測しており、Amazon の今回の発表はその主導権争いに向けた一手となります。