2026年 5月 6日、アイスランドのレイキャビクで、旧 CCP Games が社名を「 Fenris Creations 」に変更し、独立企業として再出発することが正式に発表されました。あわせて、 Google DeepMind が同社の少数株式を取得し、 AI エージェントの研究で連携を進めることも明らかになりました。
Fenris Creations はもともと、 2018年に韓国のゲーム会社 Pearl Abyss に約 4億 2,500万ドル(約 638億円)で買収された経緯があります。今回は 1億 2,000万ドル(約 180億円)で独立を果たし、独自の取締役会のもと、買収以前に近い自律的な経営体制に戻ることになります。 Google DeepMind の出資額については「数百万ドル規模」とのみ説明されており、具体的な金額は明らかにされていません。
両社の連携において中心となるのが、 オンラインゲーム「EVE Online」を使った AI エージェントの研究です。これにより、長期的な意思決定や記憶、継続的な学習といった、現状の AI がまだ十分に対応できていない課題の解明を目指します。研究にあたって Google DeepMind は、実際のオンラインサーバーとは切り離したオフライン環境の EVE Online を使用し、プレイヤーの行動パターンを分析するほか、 AI モデルの検証を行う予定です。
Google DeepMind CEO の Demis Hassabis 氏は「 EVE Online のような複雑な環境の中で、安全に AI 研究を進められることを歓迎している」とコメントしています。同氏は DeepMind の過去の事例として AlphaGo や AlphaStar など、ゲームを活用して研究を進めた成果を挙げ、ゲームが AI 開発において優れた実験の場であることを改めて強調しました。 Fenris Creations CEO の Hilmar Veigar Pétursson 氏も「 AI にとって、ゲームの世界における最大の難関は EVE Online だ」と表現しています。
2003年のリリースから 20年以上が経つ EVE Online は、 7,000以上の星系からなる広大な宇宙空間を舞台に、採掘・貿易・戦闘・政治といった活動をプレイヤーが自由に行える MMO (大規模多人数参加型オンラインゲーム)です。世界中の数万人規模のプレイヤーが同一のオンライン空間に同時接続し、互いに協力や競争をしながら経済圏や勢力図を形成していく点が特徴で、 AI 研究における複雑な社会シミュレーションの場として注目されています。業績面でも堅調で、 2025年通年の売上は 7,000万ドル(約 105億円)を超え、黒字を継続しています。同年 11月には月次売上の過去最高を記録し、第 4四半期はゲーム史上 2番目に高い四半期売上を達成しました。
今回の独立・社名変更にあたって、人員削減やオフィスの閉鎖は行われません。本社はアイスランドの Vatnsmýrin に置かれ、レイキャビク・ロンドン・上海の各拠点も現状のまま運営を続けます。 AI 研究の詳細については、 2026年 5月 14日に開幕する EVE Fanfest 2026 で発表される見通しです。
