Adobe の新 AI アシスタント、Photoshop や Premiere など複数アプリを横断して自律的に作業を実行

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Adobe は 2026 年 4 月 15 日、米カリフォルニア州サンノゼで「Firefly AI Assistant」を正式に発表しました。2025 年 10 月の Adobe MAX カンファレンスで「Project Moonlight」という開発コード名で初めて披露されたプロトタイプが、今回ついに製品として世に出た形です。プライベートベータを経ての発表となり、一般向けのパブリックベータは数週間以内に始まる予定です。

最大の特徴は、テキストで指示を出すだけで Photoshop・Premiere・Lightroom・Illustrator・Express といった Creative Cloud の各ツールを連携させて動かせる点です。対応するツールやスキルは約 100 種類。たとえば、Lightroom で仕上げた写真を Photoshop で縦横比の異なる 3 パターンに展開し、Express で SNS 用のグラフィックを作成して Frame.io でレビュー用に共有する、といった一連の作業が 1 回の会話で完了します。これまでアプリを行き来しながら手作業で進めていたような工程を、まとめて任せられるわけです。

動作の仕組みもユニークです。このアシスタントはいわゆる「エージェント型」で、最初にゴールを伝えれば、あとは自律的に判断しながら処理を進めます。途中でユーザーが介入して修正することも可能で、完成したファイルは Adobe のネイティブ形式で保存されるため、後から細かく編集し直せます。よく使う作業パターンは「Creative Skills」としてプリセット登録でき、自分なりのカスタマイズも行えます。

外部との連携も広がっています。Anthropic の Claude をはじめ、Google・OpenAI・Runway・Luma AI・ElevenLabs など 30 種類以上の AI モデルをすでに統合済みで、Adobe 以外のプラットフォームからもクリエイティブ機能を呼び出せる環境を目指しています。

事業の規模感も押さえておく必要があります。Adobe の 2025 年度売上高は 237 億 7,000 万ドル(約 3 兆 5,655 億円)で、2026 年度は 260 億ドル(約 3 兆 9,000 億円)を目標に据えています。Firefly が生成したコンテンツの累計は 200 億件を超え、Photoshop ユーザーの 75 % 以上がすでに Firefly の機能を使っています。ただし、長年 CEO を務めた Shantanu Narayen 氏が 2026 年 3 月に退任を表明し、株価も年初来で約 23 % 下落するなど、経営面では不透明な部分も残っています。

業界アナリストは「エージェント AI がようやく実験段階を抜け出し、実際の現場で使えるツールになりつつある」と評価する一方で、こうした自動化が進むことで若手クリエイター職の仕事がどう変わるかという議論も、すでに業界内で始まっています。