中国の大手テクノロジー企業アリババは 2026年4月2日、新しい AI モデル「 Qwen3.6-Plus 」を正式に公開しました。プログラムの自動生成や複雑な文書の読み取りといった分野での性能向上が特徴で、アリババのクラウドサービスおよびチャットアプリから利用できます。
注目すべき点のひとつは、一度に処理できる情報量の多さ(1Mトークン)です。同モデルは約 75 万語分のテキストを 1 回の処理で扱える大容量設計となっており、膨大なコードや長大な技術仕様書も丸ごと読み込んで回答を生成できます。テキストだけでなく、画像や PDF などの資料もまとめて入力できるため、複数の資料を横断した分析にも対応しています。
性能比較では、競合の米アンソロピック社が提供する Claude Opus 4.5 を一部の評価指標で上回りました。プログラムの自動修正タスクでは上回り、大学院レベルの科学問題に答えるテストでは比較対象のモデル中で最高スコアを記録しています。ただし、ソフトウェア開発の実務に近い条件で行うテストでは Claude Opus 4.5 にわずかに及ばない結果となっており、用途によって得手不得手があることがわかります。また、アリババが比較に使用しているのは Claude の旧バージョンである点も考慮が必要です。
価格面での優位性は明確です。同等クラスとされる Claude Opus 4.6 が入力 100 万トークンあたり $5.00(約 750 円)であるのに対し、 Qwen3.6-Plus は $0.276(約 41 円)と約 18 分の 1 の水準に設定されています。現在はプレビュー段階として無料でも使用できますが、無料での利用時は入力した内容がモデルの改善に活用される仕組みとなっており、機密情報を扱う業務での使用には注意が必要です。さらに、独立機関のテストでは一部の仕様や動作に関する説明に誤りが含まれていたとの報告もあり、基幹業務への導入前には十分な検証を行うことが望まれます。
これまでアリババは AI モデルを無償で広く公開するオープンソース戦略を採ってきましたが、今回の Qwen3.6-Plus はソースコードを非公開とするプロプライエタリモデルとして提供されており、戦略の転換として業界内で関心を集めています。一方で、開発者向けの公開モデルも引き続き提供していく方針とのことです。
