アリババ (Alibaba)と アップル(Apple)は、中国市場向けの AI 機能に関する戦略的提携を発表しました。この提携により、アリババ の AI モデル「 Qwen 」が iPhone の Apple Intelligence に統合され、中国国内での AI 機能の展開が進められます。
背景には、アップル が中国市場で直面している課題があります。 2024 年の iPhone 販売が前年比 17% 減少し、ファーウェイ や Vivo などの国内メーカーとの競争が激化。さらに、中国政府の規制に対応するため、 AI 機能については地元企業との提携が不可欠な状況でした。
当初、アップル は Baidu や ByteDance とも交渉を進めていましたが、最終的に アリババ を選択。その決め手となったのは、アリババ の技術力とデータ活用能力の高さでした。アリババ は最新の「 Qwen 2.5 」モデルを提供し、今後、アップル 製品への統合を進めていく予定です。
規制対応の一環として、両社は必要な資料を中国当局に提出しており、承認後に正式なサービスが開始される見込みです。なお、アップル は中国以外の市場では OpenAI の ChatGPT を採用していますが、中国では規制の影響でローカルパートナーとの協力が不可欠となっています。
この発表を受け、アリババ の株価は香港市場で 9.2% 上昇し、 2022 年以来の高値を記録。 2025 年初頭からの上昇率は 40% を超えており、投資家からも戦略的に重要な提携として高く評価されています。
この提携は、中国市場での アップル 製品の競争力向上に寄与するだけでなく、アリババ が AI 分野での存在感をさらに強める重要なステップとなるでしょう。
筆者の視点:昨年末から注目を集めている中国のDeepSeekですが、アリババ、Baidu、TikTokのByteDanceもそれぞれ同等の性能を持つモデルを発表しました。最終的にどのモデルが採用されるのかが注目されていましたが、今回Appleはアリババのモデルを選択しました。
その背景には、モデルの優秀さに加え、政府対応力の高さが影響したと見られています。BaiduのモデルはAppleの技術要件を満たせず、DeepSeekは大規模クライアントのサポート体制や経験が不足している点が懸念材料となったと言われています。