Metaは2024年11月4日、これまで軍事利用を禁止していた自社のAIモデル「Llama」を、米国政府機関および防衛関連企業に提供することを発表しました。今までMetaは同社のモデルの軍事利用を禁じてきましたが、今回、大きな方針転換をすることになりました。
提供先には、米国政府機関に加え、ロッキード・マーティン、ブーズ・アレン・ハミルトン、パランティアなどの防衛関連企業が含まれます。想定される用途は、テロ活動の監視、サイバーセキュリティの強化、コード生成の効率化、データ分析などです。
この方針転換の背景には、中国の研究機関がLlamaを軍事目的で使用していたことが判明したこと、米国のAI技術におけるリーダーシップ維持の必要性、Five Eyes(米英加豪NZ)との情報共有体制の強化などがあります。
Metaの動きは、AI業界全体に大きな影響を与えています。Anthropicも同様に米国防総省へのAIモデル提供を開始し、2022年から2023年にかけてAI関連の連邦政府契約が150%増加しました。一方で、AIの軍事利用に対してはそもそもの倫理的な問題が懸念されています。
オープンソースAIモデルは一旦公開してしまうとその後どのように流通するかを管理することが難しいという課題があり、他国による軍事目的での転用をどう防ぐのか、という問題に対しては今後対応していく必要性があります。