Google DeepMindの科学者がAIを用いたタンパク質研究でノーベル化学賞を受賞

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2024年のノーベル化学賞は、Google DeepMindのデミス・ハサビス(Demis Hassabis)とジョン・ジャンパー(John Jumper)、およびワシントン大学のデビッド・ベイカー(David Baker)に授与されました。ハサビスとジャンパーは、タンパク質の構造を予測するAIモデル「AlphaFold2」を開発した功績が評価されました。

AlphaFold2は、アミノ酸配列からタンパク質の3次元構造を高精度で予測できるAIモデルです。これにより、従来は数ヶ月から数年かかっていたタンパク質構造の解明が数分で可能になりました。AlphaFold2は2020年に発表され、その後200万人以上の研究者に利用されています。抗生物質耐性の理解やプラスチック分解酵素の設計など、幅広い分野で活用されています。(今年の5月にはアップグレード版の「AlphaFold3」が発表されています)

一方、デビッド・ベイカーは、コンピュータを用いて新しいタンパク質を設計する手法を開発しました。これにより、ワクチンやナノマテリアル、小型センサーなど、さまざまな新しい機能を持つタンパク質が作成可能となりました。

この研究は、生命科学や医薬品開発において大きな影響を与えています。タンパク質は生命の基本的な構成要素であり、その機能を理解するためには構造を知ることが不可欠です。AlphaFoldの技術により、タンパク質の構造予測が迅速かつ正確に行えるようになり、新しい治療法や薬剤の開発が加速しています。

ハサビスは「AIは科学的知識を加速させる究極のツールになる可能性がある」と述べ、AIの科学研究への貢献に期待を寄せています。ジャンパーは「この賞は計算生物学の可能性を示すものだ」と語り、AIを用いた研究が人々の健康に貢献することへの期待を表明しました。

前日に発表された物理学賞もAI関連の研究に贈られており、2024年のノーベル賞はAI技術の重要性を強く印象付けるものとなりました。この受賞は、AIと生物学の融合が今後ますます重要になることを示す画期的な出来事だと言えるでしょう。