StabilityAI、新しいライセンス体系を発表 – 苦境の中で無償利用を拡大

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StabilityAIは、新しいライセンス体系を発表しました。この変更により、同社の画像生成AIモデルは、研究や非商業利用、そして一部の商業利用において、無料で使用できるようになります。年間収益が100万ドル(約1.6億円)未満であれば、個人や小規模ビジネスでも無償で商用利用できるため、特にクリエイターや小規模ビジネスにとって大きなメリットとなります。

StabilityAIは、創業者のEmad Mostaque氏の退任や財務問題など、様々な困難に直面してきました。6月には新CEOのPrem Akkaraju氏が後を継いで就任し、引き続き最先端の生成AIモデルの開発を目指しています。

しかし、最新のリリースであるSD3 Mediumモデルに関しては、人間の解剖学的表現の不正確さやポーズの再現性の低さ、プロンプトへの忠実性の欠如などの批判がコミュニティから多数寄せられました。StabilityAIはこれらの批判を受け、モデルの品質向上に取り組むとともに、今回のライセンス改訂を行いました。

新しいライセンス体系では、生成できる画像やビデオの数に制限がなく、年間収益が100万ドル未満の商業ユーザーは簡単な申告を行うだけで利用できるようになりました。一方、年間収益が100万ドルを超える企業や、StabilityAIのモデルを自社の製品やサービスに組み込む場合は、有料のエンタープライズライセンスが必要となります。

StabilityAIは、このライセンスの改訂を通じてオープンソースの原則を再確認し、クリエイターの自由を尊重し、研究とコミュニティに焦点を当てることを目指す、としています。より多くのユーザーがStabilityAIの技術を利用しやすくなることで、コミュニティ全体の発展に寄与することが期待されます。

しかし、無償利用の拡大は、同社の財務的をより圧迫していく可能性があります。StabilityAIは元々のメンバーの離脱や資金繰りの問題などに直面しており、新しいライセンス体系がこれらの問題にどのような影響を与えるかが注目されます。

StabilityAIは初期から画像生成AIの分野で重要な役割を果たしてきた企業であり、業界への貢献は大きいと言えます。同社が直面する様々な課題を乗り越え、AIコミュニティの発展を支え続けていくことを願うばかりです。