AI コーディングプラットフォームの Windsurf は、2025 年 5 月 15 日にソフトウェア開発の全工程を支援する独自 AI モデルファミリー「 SWE-1 」を発表しました。同社初の自社開発モデルとなる SWE-1 は、単なるコード生成を超えて、ソフトウェア開発プロセス全体を最大 99% 高速化することを目標としています。
SWE-1 ファミリーは用途に応じた 3 つのモデルで構成されています。メインとなる「 SWE-1 」は高度な推論とツール使用に特化しており、 Claude 3.5 Sonnet に匹敵する性能を持ちながら、運用コストはより低く抑えられています。中間モデルの「 SWE-1-lite 」は従来モデルを上回る性能を実現し、軽量版の「 SWE-1-mini 」はリアルタイムでのコード予測に最適化されています。
この新モデルの最大の特徴は「フローアウェアネス」という設計思想にあります。これは開発者と AI が同じタイムライン上で協力し、状況に応じた自然な共同作業を可能にする仕組みです。これまでの AI コーディングツールが部分的なコードの生成に重点を置いていたのに対し、 SWE-1 は企画、実装、テスト、デバッグまでソフトウェア開発の全体を理解して支援します。
実際の開発現場では、開発者は複数のタスクを行き来したり、大量のファイルを扱ったりする複雑な作業が求められます。 SWE-1 はこうした現実的な開発プロセスにおいて、より実用的な支援を提供することを目指しています。社内評価では、対話型開発で 89% 、エンドツーエンド開発で 78% 、バグ修正で 92% という高いスコアを記録し、既存の主要 AI モデルを上回る結果を示しました。
今回の発表は、 OpenAI が Windsurf を 30 億ドル(約 4320 億円)で買収する交渉を進めているという報道の直後に行われました。このタイミングから、激化する AI 開発ツール市場において、 Windsurf が独自性を保ちながら技術革新を加速させる狙いが見て取れます。業界関係者からは「従来の AI コーディングアシスタントは実際の開発作業の 80% に対応できていない。 SWE-1 は状況を一変させる可能性がある」との評価も聞かれ、今後の動向に注目が集まっています。