Universal Music Group が AI 音楽企業 Udio と和解、2026年に新プラットフォーム開始

投稿者:

世界最大手レコード会社の Universal Music Group(UMG)は10月29日、AI 音楽プラットフォーム Udio との著作権侵害訴訟で和解に達したと発表しました。両社は2026年に新たな AI 音楽プラットフォームを共同開発することも決定し、音楽業界における AI 企業との初の大型提携として注目を集めています。

今回の和解は、6月に UMG が Sony Music、Warner Music Group と共に Udio を提訴した件に関するものです。訴訟では Udio が Taylor Swift、BTS、Ariana Grande らの楽曲数百曲を許可なく AI モデルの訓練に使用したと主張されていました。これに対し Udio は「公正使用に該当する」と反論していました。

和解条件によると、Udio は UMG に補償的和解金を支払い、新たなライセンス契約を締結します。具体的な金額は明らかにされていませんが、参加する UMG アーティストと作曲家には AI モデルの訓練過程と出力の両方で報酬が支払われます。また Udio の既存モデルで作成された楽曲は「ウォールドガーデン内で管理」され、プラットフォーム外への持ち出しが制限されます。

2026年にローンチ予定の新プラットフォームでは、UMG アーティストと作曲家がオプトイン形式で参加可能で、認可・ライセンスされた楽曲のみで訓練された AI 技術を使用します。マッシュアップ、リミックス、音声スワッピングなどの機能が提供される予定ですが、作成された楽曲の外部持ち出しは不可となります。

一方、Sony Music Group と Warner Music Group は依然として Udio、Suno 両社への訴訟を継続中です。UMG は10月30日に Stability AI との戦略的提携も発表しており、YouTube、TikTok、Meta などとの AI 関連契約も進めています。

この和解は音楽業界の AI に対するアプローチが「法的対立から構造化された協力関係」へと移行する転換点となりそうです。