米国エネルギー省は 2025 年 12 月 18 日、人工知能を活用した科学発見の加速を目的とする Genesis Mission の官民パートナーシップを発表した。この歴史的な国家事業には、NVIDIA や OpenAI、Microsoft、Google など 24 の主要企業・組織が参加し、総額 3 億 2,000 万ドル(約 480 億円)が投入される。
Genesis Mission は、トランプ大統領が 11 月 24 日に発令した大統領令に基づいて創設された。クリス・ライト エネルギー長官は、この取り組みを第二次世界大戦のマンハッタン計画に匹敵する緊急性と野心を持つ事業と位置づけている。ダリオ・ギル科学担当次官がミッション責任者に任命され、10 年以内にアメリカの科学・工学の生産性を倍増させることを目標としている。
主要イニシアチブとして、American Science Cloud(AmSC)に 4,000 万ドル(約 60 億円)、Transformational AI Models Consortium(ModCon)に 3,000 万ドル(約 45 億円)を投資する。これらのプラットフォームは、AI モデルと科学データを研究コミュニティに提供し、実験の自動化とシミュレーションの加速を実現する。
Mission は 3 つの重要課題に焦点を当てている。第一に、先進原子力や核融合技術の開発によるエネルギー優位性の確保。第二に、量子システム構築を通じた発見科学の推進。第三に、核兵器庫の安全性確保と防衛素材開発による国家安全保障の強化である。
参加企業には、AI 分野の主要プレイヤーである Anthropic や xAI、Cerebras、Groq などの新興企業も含まれている。また、14 のロボティクスプロジェクトと自動化実験室の導入により、実験環境の変革も目指している。
エネルギー省の 17 の国立研究所、産業界、学術界を統合した発見プラットフォームの構築により、AI 開発における世界的技術優位性の競争でアメリカの勝利を確実にする戦略的取り組みとなっている。
