テスラ FSD のヨーロッパ展開に新たな規制上の障壁 – 2025 年中の導入は困難な状況に

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テスラ の完全自動運転( Full Self-Driving 、 FSD )システムが、ヨーロッパでの展開に向けてさらなる規制上の障壁に直面しています。特に英国をはじめとする複数の国が追加試験と検証を求め、当初計画していた 2025 年第 1 四半期の展開が遅延する見通しとなりました。

最近の国連欧州経済委員会( UNECE )の会合後に明らかになった問題の主な原因は、英国、ノルウェー、スウェーデン、オランダなどの国々が安全性への懸念を表明していることです。英国運輸省( DfT )は 2024 年 9 月に「ドライバー支援システムは事故を減少させる可能性がある一方で、新たな安全リスクを導入する可能性もある」と指摘。この結果、テスラの FSD が提供する機能に制限が課される可能性が高まっています。

イーロン・マスク CEO は 2025 年 1 月の投資家向け発言で「ヨーロッパは規制と官僚主義のミルフィーユ( layer cake )」と形容し、規制の段階の多さと複雑さを批判。 2 月 28 日には「規制承認を待っている段階」と明言し、技術的準備は整っていると主張しています。マスクは当初の目標が「実現不可能」と認める一方、 5 月頃の承認を新たな目安としていますが、その実現性は不透明です。

テスラがヨーロッパで FSD を展開するには、国ごとの規制免除申請か、現行規制に準拠した機能制限版のリリースか、という選択肢がありますが、いずれも理想的ではありません。 UNECE の次回会合は 2025 年 5 月に予定されていますが、議題に自動運転技術が含まれておらず、承認プロセスがさらに遅れる可能性があります。一部では全面展開が 2028 年まで遅延するという悲観的な見方も出ています。

この状況は、テスラにとって大きな痛手です。同社はすでに米国と中国で FSD を展開しており、ヨーロッパも重要な市場として位置付けていますが、遅延が長引けば競合他社に技術的優位性を失うリスクが高まります。特に中国の BYD は低価格帯の車両に先進的な自動運転機能を搭載しており、テスラの競争力を脅かしています。


筆者の視点:テスラの自動運転技術「 FSD 」は、ヨーロッパにおいて規制当局から承認が得られず、現実的には 2025 年中の導入が難しくなった模様です。さらに最近、イーロン・マスク氏がドイツの極右政党「 AfD(ドイツのための選択肢)」を支持するなど、ヨーロッパでポピュリストや極右政党に対する政治的発言を行ったことで、テスラに対する消費者の反発が広がっています。その結果、テスラ車の売却や購入控えを呼びかける動きが加速しています。

また、中国の BYD をはじめとする中国製 EV が低価格を武器に激しい競争を仕掛けているほか、中国で最近導入された FSD の性能が期待ほどではなく、中国ユーザーからの評価が低いという問題も加わり、中国やヨーロッパ市場でのテスラの販売は伸び悩みつつあります。こうした状況が嫌気され、ここ数日でテスラの株価が急落しています。

トランプ政権誕生の際には、マスク氏の政権入りが期待されていたのですが、そうした政治的な動きが現在は逆に働いているようです。テスラの苦境はもうしばらく続くかもしれません。