Tesla は 2025 年 8 月 29 日、オーストラリアとニュージーランドで「 Full Self-Driving ( FSD /完全自動運転)」機能の販売を開始しました。これは右ハンドル市場への初の本格導入となり、日本や英国などへの展開につながる重要な転換点となります。
FSD は現在「 Supervised (監督付き)」として提供されており、レベル 2 の運転支援システムに分類されます。あくまで完全自動運転ではなく、ドライバーは常に道路状況を監視し、必要に応じて介入することが義務付けられています。ただし、実態としては完全自動運転に近く、目的地までハンドルやペダルにほぼ触れることなく移動することが可能です(筆者のレポートはこちら)。対象車種は最新のハードウェア 4 ( HW4、AI4 )が搭載された Model 3 と Model Y で、今後はハードウェア 3 搭載車への展開も検討されています。
FSD オプションの購入価格はオーストラリアで 10,100 豪ドル(約 148 万円)、ニュージーランドでは 11,400 NZドル(約 167 万円)となっており、以前の 8,100 豪ドルから値上げされています。両国とも 30 日間の無料トライアルを提供し、体験後に購入判断が可能です。サブスクリプション型の価格は現時点で設定されていませんが、将来的には導入が予定されています。
FSD は 8 つの外部カメラで周囲の車両・自転車・歩行者を 360 度検知し、車内の赤外線カメラでドライバーの注意レベルを監視します。都市部の複雑な交差点から高速道路まで自動ナビゲーションが可能で、オーストラリア・メルボルン特有の「フックターン」やニュージーランドのラウンドアバウト、狭い地方道路にも対応しています。
メディアによる試乗体験では、目的地までほとんどドライバーが運転に介入することなく移動できる点が評価されています。都市部の複雑な交差点や幹線道路でもストレスなく運転でき、速度標識やドライバーの注意レベルを監視する技術も高く評価されました。ただし、駐車場内や一部のイレギュラーな道路では誤認識が残り、工事現場や手信号などでは人間のサポートが必要な場面も報告されています。
法的な観点では、現行法でレベル 2 の高度運転支援が適合するため規制上の問題はありませんが、テスラは「 FSD 搭載車」の広告宣伝について豪州消費者法違反として集団訴訟に直面しており、「誤解を招く表現には厳密な監督が必要」との批判もあります。
この導入により、 Tesla は急成長するオーストラリアの EV 市場での競争力をさらに強化できると期待されます。 2024 年にオーストラリアでは EV が新車販売の約 9 %を占めており、今回の導入により Model 3 と Model Y の魅力向上につながります。両国で成功を収めることで日本や英国など他の右ハンドル市場への展開を後押しし、完全自動運転技術の世界的な普及を加速させる可能性が期待されています。