Tesla が 2025 年第 2 四半期決算発表で、 FSD (完全自動運転)の今後の計画を発表しました。同社は 2025 年第 3 四半期に大幅なアップデートをリリースし、年末までに一部都市で監視不要の完全自動運転を導入する計画を示しています。
Robotaxi 技術の統合による「ステップチェンジ」
Tesla は、現在テキサス州オースティンで運用中の Robotaxi 向けに開発された FSD 技術を、一般顧客向けの FSD Supervised (監視付き FSD )に統合する大型アップデートを準備中です。このアップデートは「ステップチェンジ(飛躍的な進化)」と呼ばれており、従来よりも格段に人間らしい運転動作や困難なケースへの対応力向上が期待されています。
また、運転者への警告システムも改善され、短時間視線を外すことがより許容されるようになり、安全性と利便性の両面で向上が図られます。
AI モデルの大幅強化
今回のアップデートでは、 FSD の AI モデルが現行の最大 10 倍のパラメータ数に拡張される予定です。これは当初計画の 4 ~ 4.5 倍から大幅に上方修正されたもので、より多様な状況や「想定外のケース」への対応力が劇的に高まることが見込まれています。
FSD Unsupervised の本格展開
Tesla は 2025 年末までに、アメリカ国内の一部都市で FSD Unsupervised (監督不要の完全自律運転)を顧客が実際に使用できるようにすることを目標としています。最初は Model Y に限定され、 Robotaxi が運用されている検証済みエリアなど、ごく限定的な地域・車種・条件からスタートする見込みです。
グローバル展開への取り組み
ヨーロッパでは、オランダ当局と調整しつつ EU と UNECE (国連欧州経済委員会)の規制緩和・承認を目指しており、早ければ 2025 年第 3 四半期中、遅くとも年内の許可取得を目指しています。中国では、 AI4 搭載車両向けの FSD 提供に注力していますが、アップデートごとに現地規制当局の認可が必要なため、展開には時間を要する状況です。
リリーススケジュール
新しい FSD のカスタマービルドは 2025 年 7 月から 9 月(第 3 四半期)にリリース予定ですが、検証・テストの進捗次第で前後する可能性があります。まずは社内の車両でのテスト、次に早期アクセスの社外テスター、その後インフルエンサーを経由し、一般顧客への展開となる見込みです。
Tesla の FSD 技術は、 Robotaxi ネットワークでの運用実績を基に着実に進化を続けており、完全自動運転の実用化に向けて重要な節目を迎えています。規制対応や検証プロセスにより計画が変更される可能性もありますが、 2025 年は同社の自動運転技術にとって転換点となりそうです。