AIスタートアップのStability AIが、危機的な状況に直面しています。同社は、人気の画像生成AIモデル「Stable Diffusion」を開発したことで知られていますが、そのコア技術を開発した5人のうち3人が最近退社しました。また、この退職に先立ち、COOやHead of Researchなどの幹部も相次いで去っていったようです。
資金繰りの面でも、同社は問題を抱えているとされています。当初、10億ドル(約1500億円)の評価額で1億ドル(約150億円)の資金調達に成功したものの、月間経費が収益を大幅に上回り、資金が急速に減少しているようです。その後Intelからは、Stable Diffusionの高速化を条件に5,000万ドル(約75億円)の追加出資を取り付けましたが、それ以上の資金調達は難航しているとのことです。
加えて、倫理的な問題も指摘されています。退職した研究者らは、自分たちの貢献をStability AIが過小評価していると不満を漏らしています。また、ライバル企業のMidjourneyは、Stability AIの従業員が不正にデータを収集したとして、同社の利用を禁止するなど、物議を醸しています。
GoogleやMicrosoftなどの大手企業が次々と画像生成AIを発表する中、Stability AIの先行きは不透明です。優秀な人材の流出と風評被害により、「Stability(安定)」とは皮肉な名前になってしまったようです。これまで画像や動画生成AIの分野をリードしてきた同社がこの危機を乗り越えられるかどうか、注目が集まっています。