ソフトバンクグループは11月11日、保有していたNVIDIA株3,210万株を約58億3,000万ドル(約8,745億円)で全て売却したと発表しました。あわせてT-Mobile株の一部も約91億7,000万ドル(約1兆3,755億円)で売却し、ドイツテレコム株の売却分と合わせて、合計約173億7,000万ドル(約2兆6,055億円)の資金を調達しています。
これらの資金は、OpenAIへの集中的な投資に充てられる予定です。ソフトバンクは2024年3月、最大400億ドル規模のOpenAI投資ラウンドを主導し、同年4月には初回として100億ドル(約1兆5,000億円)を投資しました。さらに、2025年12月には残りの225億ドル(約3兆3,750億円)を追加投資する計画であり、これはOpenAIが2025年末までに非営利法人から営利目的のデラウェア州公益法人へと法人形態を変更することを条件としています。
法人変更が実現した場合、ソフトバンクの総投資額は347億ドル(約5兆2,050億円)に達し、OpenAIの企業価値は5,000億ドル(約75兆円)まで上昇する見通しです。この法人再編後、ソフトバンクのOpenAI持分比率は現在の4%から11%へと増加する予定です。
2025年1月には、ドナルド・トランプ大統領、孫正義氏、サム・アルトマン氏、ラリー・エリソン氏の4名が「Stargateプロジェクト」を発表しました。このプロジェクトでは、今後4年間で総額5,000億ドル(約75兆円)を投じ、AIに特化したデータセンターネットワークを米国全土に構築する計画です。ソフトバンクが財務面を担当し、OpenAIが運営を担います。
孫正義氏は株主総会で、「10年以内に人工超知能(AGI)の時代における世界一のプラットフォーム提供者になる」と述べ、10年以内に世界のGDPの約5%(9兆ドル)がAIに置き換わると予測しています。
一方で、AI投資バブルへの懸念も高まっています。MITの研究によると、企業の95%がAI投資から十分な費用対効果を得られていないことが明らかになっています。また、イェール大学の専門家は、AI主要企業間の相互依存が金融危機のような連鎖反応を引き起こす可能性があると警鐘を鳴らしています。
ソフトバンクの第2四半期純利益は2兆5,000億円に達し、前年同期比で190.9%の増加となりました。ビジョン・ファンドは234億ドルの投資利益を計上しており、同社の株価は過去6か月でおよそ4倍に上昇しています。さらに、2025年1月1日には4対1の株式分割を実施する予定です。
