中国のテック企業であるSenseTime社が、大規模言語モデル「SenseNova」の大幅なアップデート版となる「SenseNova 5.0」を発表しました。このモデルは、ほとんどすべての主要ベンチマークでGPT-4 Turboを上回る性能を示しています。
SenseNova 5.0は約600Bパラメーターで、20万トークンのコンテキストウィンドウを備えています。10TB以上の主に合成データで学習されたこのモデルは、知識、数学、推論、コーディングなどの分野で大幅な進歩を遂げ、GPT-4Tなどのトップモデルをしのぐベンチマークスコアを達成しました。ただし、一般公開がなされていないため、性能検証はできず、まだ未知の部分も多い点が指摘されています。
SenseNova 5.0は、より効率的で応答性の高いAIアーキテクチャを実現しています。推論速度は109.5ワード/秒と高速で、同等のモデルと比較して処理コストを最大80%削減できます。また、「Text to Video」の動画生成モデルも近日中に利用可能になるとのことです。
また、様々なデバイスでシームレスに動作し、クラウドサーバーへの依存を最小限に抑えられるのも大きな利点です。すでに金融、医療、政府など専門分野での導入実績も高く、効率性とコスト効果の高さが実証されています。
AI分野ではここまで圧倒的に米国がリードしてきましたが、今回中国の企業がそれを上回ってきました。先日はUAEのG42への投資をめぐる問題でも米国と中国の争いが表面化していますが、今後も米国と中国の地政学的な争いは激化していきそうです。