サウジアラビアの国営AI企業 HUMAIN は、米国の主要テクノロジー企業と複数の大規模なパートナーシップを締結し、同国を世界のAIハブへと変貌させる計画を本格化させています。この計画には、イーロン・マスク氏率いる xAI、半導体大手の Nvidia、クラウドサービスの巨人 Amazon Web Services (AWS) が名を連ねています。
今回の提携の中心となるのは、HUMAIN と xAI による大規模な GPU データセンターの建設と、xAI の AI モデル「Grok」のサウジアラビア全国への展開です。計画では 500 MW を超えるデータセンターネットワークが構築され、約 60 万基の Nvidia 製 GPU が配備される見込みです。Grok は HUMAIN のプラットフォームに統合され、政府から民間までを網羅する国家的なAI基盤の構築を目指します。イーロン・マスク氏も「知能の未来は、大規模かつ効率的なコンピューティングを通じて構築される」と述べ、この提携への期待を表明しています。
この巨大なAIインフラを支えるのが Nvidia と AWS です。Nvidia は、計画に不可欠な高性能 GPU の主要サプライヤーとなります。これまで安全保障上の懸念から制限されていましたが、米国政府が HUMAIN への AI チップ販売を承認する方向で動いていると報じられており、計画の実現性が高まっています。
一方、AWS は HUMAIN とのパートナーシップを拡大し、首都リヤドに「AIゾーン」と呼ばれるデータセンター施設を建設します。これには 50 億ドル(約 7980 億円)以上が投資され、最大 15 万基の AI アクセラレータが配備される予定です。両社は高度なアラビア語大規模言語モデルの開発でも協力します。
これらの動きは、サウジアラビアが石油依存からの脱却を目指す国家戦略「ビジョン2030」の中核をなすものです。豊富な資金、エネルギー、広大な土地という強みを活かし、同国は急速にAI産業の主要プレイヤーへと浮上しています。この大規模な投資と国際的な連携は、世界のAIにおけるイノベーションの勢力図を大きく変える可能性を秘めています。
