Runway が映像編集 AI 「 Aleph 」を発表、テキストで既存動画を自在に変換

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AI 映像技術を手がける Runway が発表した映像編集 AI モデル「 Runway Aleph 」が、映像制作業界で注目を集めています。この AI は、テキストの指示を使って既存の映像を編集・変換する「インコンテキスト」ビデオモデルとして、従来の映像制作の手法を変える可能性を持っています。

Aleph の特徴は、まったく新しい映像を作るのではなく、すでにある映像を分析してその内容を理解し、様々な編集を行えることです。例えば、映像に映り込んでしまったカメラマンの反射を自然に消したり、何もない通りに群衆を追加したり、一つの映像から全く違うカメラアングルの映像を作り出したりできます。また、昼間のシーンを夕暮れに変更するようなライティングの調整や、天候や背景を変更するスタイル変換も、映像全体の統一感を保ちながら実現できます。

これにより、これまでは専門チームや高価なソフトが必要だったポストプロダクション作業(色調整、特殊効果、合成作業など)が効率化されます。

ただし、プロの制作現場で実際に使えるかどうかについては、まだ検証が必要な点もあります。高解像度での映像品質の維持、色管理やタイムコード、メタデータの適切な処理、プロの VFX ディレクターやカラリストが求める細かい調整ができるかどうかなどが課題として挙げられています。また、様々なタイプの映像や条件で安定した品質を保てるかの確認も必要です。

業界への影響は両面から注目されています。制作コストの削減や効率化が期待される一方で、映像業界で働くアーティストやエディター、照明技師などの雇用への影響が心配されており、 AI 技術の進歩が従来の仕事の流れに与える経済的な影響についても議論が活発になっています。

SNS では、 Aleph の不要な映り込みを瞬時に除去する機能や映像編集のスピードが話題となり、映像制作業界への影響を予想する声も多く見られます。ユーザーや業界関係者は、その新しい機能に注目しつつも、実際の制作現場での信頼性や他のツールとの連携がどの程度うまくいくかを慎重に見極めようとしています。

現在、 Aleph は Runway の企業向けサービスやクリエイティブパートナー向けに早期アクセスが提供されており、一般ユーザーが広く利用できるようになるのはもう少し先になりそうです。