Qualcomm が AI200・AI250 データセンター向け AI チップを発表、株価 11% 上昇

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Qualcomm は 2025 年 10 月 27 日、データセンター向け AI チップ「AI200」および「AI250」とラックスケールサーバーソリューションを正式発表しました。この発表を受けて同社の株価は一時 21.9% まで急騰し、最終的に約 11% 高で取引を終えました。

新製品の商用提供は AI200 が 2026 年、AI250 が 2027 年に開始される予定です。AI200 には 768GB の LPDDR メモリが搭載されており、AI250 では近接メモリコンピューティングアーキテクチャの採用により、AI200 の 10 倍を超えるメモリ帯域幅を実現しています。システム全体では 160kW の電力で動作し、直液冷却システムを導入することで、大規模言語モデル(LLM)やマルチモーダルモデル(LMM)の処理において低い総コスト(TCO)を実現します。

今回の発表は、Nvidia が 90% を超えるシェアを持つ AI アクセラレータ市場に Qualcomm が本格参入することを意味しています。同社はスマートフォン向けに培った Hexagon NPU 技術を活用し、AI モデルの推論処理に特化したハードウェアを提供します。Qualcomm の第 3 四半期売上高は 104 億ドル(約 1 兆 5600 億円)で、このうち携帯電話事業が 63 億ドル(約 9450 億円)を占めており、今回の取り組みは収益源の多様化に向けた重要な戦略となります。

既に主要パートナーとして、サウジアラビアの AI スタートアップ HUMAIN との提携が決定しており、200MW 規模のデータセンター構築が 2026 年から開始される計画です。AI 関連データセンター市場は 2030 年までに 6.7 兆ドル(約 1005 兆円)規模の投資が見込まれる中、Qualcomm の市場参入により、クラウドサービス事業者や大手企業にとって価格競争の促進とサプライチェーンの安定化が期待されます。