【資金調達:借入】Pindrop Security、1億ドルの資金調達でディープフェイク対策を強化

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米アトランタに本社を置くPindrop Securityは、Hercules Capital Inc.から1億ドル(約157億円)の借入による資金調達(debt financing)を行ったと発表されています。同社は、電話詐欺を検出し、発信者のリスクスコアを提供する音声セキュリティと認証のリーダー企業であり、年間推定売上高は6,400万ドル(約10億円)に上ります。

Pindrop Securityの技術は、コンタクトセンターでの詐欺検出に広く利用されており、年間50億ドル(約7900億円)と推定される詐欺リスクの軽減に貢献しています。同社は電話の音声から147の特徴を抽出し、発信元のデバイスや場所を特定する独自の技術を持っており、米国の大手銀行10行のうち8行、大手生命保険会社7社のうち5社を顧客に持ち、米国顧客の70%がフォーチュン500企業です。

今回の資金調達では、AI生成の音声や動画を検出するディープフェイク対策ツール「Pindrop Pulse」の開発を強化する、としています。Pindrop Pulseは、ディープニューラルネットワークを活用したliveness detectionエンジンを搭載し、独立したテストで最大94.6%の精度を達成、誤検知率はわずか1%に抑えられています。音声認識、デバイス認識、行動分析と組み合わせることで、最大99%の精度向上が可能です。

Pindrop Pulseは、これまでに2,200万件以上の発話データセットと330以上のテキスト読み上げ(Text-to-Speach)エンジンを学習し、常に進化することで最新の詐欺手口に対応しています。同ツールは、今年初めに発生したバイデン大統領のなりすましロボコール攻撃で使用されたテキスト読み上げエンジンを特定し、一躍有名になりました。

また、万が一ツールがディープフェイクを検出できず、顧客が経済的損失を被った場合には補償を行う取り組みも実施しています。それだけ自社の技術に自信がある、という表れなのでしょう。

Pindrop Securityは、2011年の創業からこれまでに2億1,960万ドル(約346億円)の資金調達を行っており、主な投資家にはAndreessen Horowitz、Citi Ventures、CapitalG、GVなどが名を連ねています。