OpenAIが政権に提案書を提出 ー 規制緩和や中国との競争についてなど多岐にわたる内容

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OpenAI は 2025 年 3 月 13 日、トランプ政権が進める「 AI アクションプラン 」に向けた 15 ページの政策提案書を提出しました。この提案では、米国の AI 技術におけるリーダーシップを維持し、中国との競争に対抗するための戦略が示されています。

提案の中核は、AI 企業に対する州ごとの規制を連邦政府の監督に置き換えることです。OpenAI によれば、全米の州政府が個別に検討している数百に及ぶ AI 関連法案は一貫性がなく、技術革新を阻害するリスクがあると懸念しています。代わりに、企業が自社モデルを連邦政府と共有し、安全性や能力の検証に協力することを条件に、州規制からの免除を求めています。

また、AI 開発に必要な学習データへのアクセスを確保するため、AI の学習に関しては著作権法の「フェアユース」原則の強化を提唱。欧州連合のような、厳格な著作権ルールはイノベーションを阻害するとし、米国のフェアユースを強化することで AI の学習の自由を促進すべきだと主張しています。

他にも、AI インフラ構築の加速化、民主的な AI 技術の海外輸出促進と中国など特定国への技術流出防止、政府機関による AI 採用の推進などが含まれています。特に国家安全保障については、中国が 2030 年までに米国を追い越す計画を立てていると指摘し、Huawei や DeepSeek など中国製チップやモデルの使用禁止といった具体的な対策も提案しています。

この提案はトランプ政権がバイデン前政権の AI 規制強化方針を撤回した後に行われたもので、「過剰な規制」を避けつつ民間部門による革新を促進する方針に沿ったものとなっています。

提案書の提出期限である 3 月 15 日の直前には、Google も同様の提案書を提出したと報じられています。ホワイトハウスはこれらの意見を基に、2025 年 7 月までに最終的な AI アクションプランを策定する予定です。


筆者の視点:EU では AI 規制を強化しており、その影響で AI 企業の EU 地域へのサービス展開が遅れるケースが増えています。過度な規制がイノベーションを阻害するという意見には筆者も賛同します。

今回の提案では、州ごとに異なる規制を連邦で統一的に管理する点や、学習データに関しては、著作権法上のフェアユースを適用すべきとする点が含まれており、特に後者は踏み込んだ内容です。仮にフェアユース適用が正式に方針化されれば、今後の AI モデルの進歩には大きく寄与することが予想されるものの、コンテンツホルダーにとっては厳しい内容となりまる。また、現在コンテンツホルダーが AI 企業に対して起こしている数々の訴訟にも大きな影響を与える可能性があります。(いうまでもなく OpenAI も数多く訴えられています)

その他、DeepSeek のモデル使用禁止についてですが、Web や DeepSeek アプリを通じて同社のサーバーにアクセスする形態と、オープンソースの DeepSeek モデルをアメリカでホストして使用する形態を明確に区別すべきとの意見も業界内にはあります。この点を曖昧にしたまま一律禁止とするのは適切ではないとの見方もあります。

全体としては、今回の提案は各論では賛否が分かれるものの、大枠で考えると、アメリカの AI 推進にとっては有利な内容になっていると感じます。今後、この OpenAI の提案に加え、Google など他の企業から提出された提案も含めて、政権が 7 月にどのようなアクションプランを打ち出すのか注目です。