OpenAI と Google がプログラミングの ICPC 世界大会で金メダル級の成績を達成

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2025 年 9 月 4 日、アゼルバイジャンの首都バクーで開催された ICPC 世界大会(国際大学対抗プログラミングコンテスト)で、 OpenAI と Google の AI モデルが金メダル級の成績を達成しました。この大会は「コーディングのオリンピック」とも呼ばれ、世界約 3,000 大学から選抜された 139 チームが 5 時間以内に 12 問のアルゴリズム問題を解く最難関のプログラミング競技です。

OpenAI は、 GPT-5 と実験的推論モデルを組み合わせたアンサンブル手法で全 12 問を正解し、完璧なスコアを記録しました。アンサンブルとは複数の AI モデルを連携させる手法で、各モデルの回答を比較・検証することでより確実な解答を導き出します。 GPT-5 が単独で 11 問を初回提出で正解し、最難関の 1 問は実験モデルが 9 回の試行で突破するという役割分担により、人間チームの最高成績を上回る 1 位相当の成績を達成しました。

一方、 Google の Gemini 2.5 Deep Think は 12 問中 10 問を正解し、人間チームの 2 位に相当する成績を収めました。注目すべきは「問題 C 」への対応です。この複雑な最適化タスクは全 139 の人間チームが解けなかった最難関問題でしたが、 Gemini は独自のゲーム理論的手法を用いて 30 分以内に解答しました。

今回の結果を具体的な数字で見ると、その圧倒的な性能差が明らかになります。人間の金メダルチーム(サンクトペテルブルク州立大学、東京大学、北京交通大学、清華大学)は最大 11 問正解でしたが、 AI がこれを上回りました。特に OpenAI のシステムは、 ICPC 特化の訓練を行わず、一般的な推論モデルを使用してこの成果を達成したことが評価されています。

OpenAI の Mostafa Rohaninejad 氏は「複数の一般推論モデルを組み合わせて使用し、 ICPC 特化の訓練は行わなかった」と説明しており、汎用的な AI 能力だけでこの成果を達成したことを強調しています。 Google CEO の Sundar Pichai 氏は「 Gemini の複雑な問題を解く能力が大幅に向上した」とコメントしています。

これは 2025 年 7 月の国際数学オリンピック( IMO )での両社の金メダル成績に続く成果で、 AI の多段階推論能力が数学・コーディングの抽象的課題で人間を超えていることを示しています。今回の結果は、 AI がソフトウェア開発、半導体設計、バイオテクノロジーなどの産業を変革する可能性を示唆しており、教育現場での AI ツール統合が進む一方で、雇用への影響についても議論が活発化しています。

ICPC Global Executive Director の Bill Poucher 氏は「 AI の参加により、今後の AI 技術の発展と学術的な評価基準が新たに定まっていくだろう」と評価しています。