OpenAIがAmazon Web Services(AWS)と 7 年間で 380 億ドル(約 6.1 兆円)にのぼる大規模なインフラ契約を締結しました。これまで同社が深く依存してきたMicrosoftのクラウドサービスからの多角化を示す動きとして注目されています。この契約は、AI開発における計算能力への需要と、クラウドプロバイダー間の競争激化を象徴しています。
これまでOpenAIは、2019 年以降Microsoftから受けた総額 130 億ドル(約 2.1 兆円)の投資を背景に、Microsoft Azureを主要なクラウドパートナーとしてきました。しかし、OpenAIが企業再編を終えたことでこの排他的な関係は終了し、他のプロバイダーとの契約が可能になりました。今回のAWSとの契約は、その最初の大きな一歩となります。
この動きは、OpenAIが「マルチクラウド戦略」へ明確に舵を切ったことを示しています。Microsoftとの関係を完全に断ち切るわけではなく、Azureサービスに対しても 2500 億ドル(約 40.0 兆円)の追加コミットメントを行っています。特定のベンダーへの依存を減らし、コスト、専門チップへのアクセス、特定のシステムへの依存を減らす、戦略的な多角化と見られています。
OpenAIのサム・アルトマン CEOが述べるように、最先端のAI開発には膨大で信頼性の高い計算能力が不可欠です。複数のプロバイダーからリソースを確保することは、将来のAI開発に必要な安定性と柔軟性を手に入れるための重要な手段となります。また、この多角化は、噂されるIPO(新規株式公開)に向けて、独立性と経営の成熟度を示す狙いもあると解釈できます。
この契約はAWSにとっても大きな成果であり、AIクラウド市場におけるリーダーシップを強化し、競合に対する優位性を確立する好機となります。
