OpenAI、2025年に向け公益法人への移行を発表 ─ 非営利から営利重視の構造へ

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OpenAI は 12 月 27 日、組織構造を大きく変更し、非営利団体から利益を追求する組織へと移行する計画を発表しました。2025 年に向けて、現在の営利部門を公益法人( Public Benefit Corporation, PBC )として再編成する予定です。この再編は、2024 年 10 月にクロージングされた 66 億ドル(約 1 兆円)の資金調達ラウンドの条件として設定されており、2 年以内に完了しない場合、投資家は資金を返還請求できることになっています。

この構造変更の背景には、AI 開発競争の激化があります。次世代 AI モデルの開発には膨大な計算資源が必要とされ、従来の非営利構造では十分な資金調達が困難になってきていました。

新しい公益法人の構造では、株主・ステークホルダーの利益と公共の利益をバランスよく考慮することが求められています。非営利部門は引き続き存在し、PBC の株式を保有しますが、監督権限は放棄し、さらに医療、教育、科学研究などの分野で慈善活動を推進する、としています。

しかし、この移行計画にはいくつかの課題も浮上しています。OpenAI の共同創業者である Elon Musk は、OpenAI 立ち上げ当初の「慈善的使命」を放棄しているとして訴訟を起こしています。また、Meta も OpenAI の再編計画が、非営利から営利への転換に関する法的・倫理的な基準に違反すると考え、カリフォルニア州司法長官に差し止めを求める申し立てを行っています。


筆者の視点:OpenAI は今回の組織変更について、AI 開発競争に参加し、必要な資金を調達するための重要なステップだと説明しています。同社のガバナンス構造は、創設時の理念や形態の影響を受け、非常に難解なものとなっています。今回提案された再編案も依然として理解が難しい部分が残っていますが、立ち上げ当初から続く矛盾、利益追求と社会的使命のバランスを取るために試行錯誤している様子がうかがえます。このバランスをどのように維持していくのか、今後の動向が注目されます。