OpenAIが GPT-5.2 をリリース、Gemini追撃へ「コードレッド」後の一手

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OpenAIは 2025年12月11日、同社が「プロフェッショナルな知識労働にとって最も有能なシリーズ」と称する GPT-5.2 モデルファミリーを発表しました。この動きは、Googleの Gemini 3 や Anthropicの Claude Opus 4.5 といった競合モデルに性能面で先行され、社内で「コードレッド」が宣言されたと報じられた直後のもので、AI業界における主導権を再確立しようとするOpenAIの戦略的な一手と見られます。

報道によると、Gemini 3 の登場後、ChatGPT のデイリー訪問数は約 6% 減少し、OpenAIは強い競争圧力に晒されていました。今回の GPT-5.2 のリリースは、こうした状況に対する明確な回答と言えるでしょう。

GPT-5.2 は、汎用的な性能向上に加え、特にプロフェッショナルな知識労働に焦点を当てて設計されています。モデルは、日常的なタスク向けの GPT-5.2 Instant、複雑な推論を担う主力モデル GPT-5.2 Thinking、そして高度な科学技術計算にも対応する GPT-5.2 Pro の3つのバリアントで構成されています。

性能向上の中でも注目すべきは、知識労働タスクを評価する独自ベンチマーク GDPval での成果です。GPT-5.2 Thinking は、評価された 44 職種のタスクにおいて、人間の専門家と比較して 70.9% で同等以上の性能を発揮しました。これは GPT-5.1 の 38.8% から飛躍的な向上であり、専門家より 11 倍高速かつコストは 1% 未満に抑えられるとしています。
また、400,000 トークンという広大なコンテキストウィンドウや、チャート読解などのビジョン能力、コーディング、外部ツールの利用能力も大幅に強化されており、より複雑で大規模なプロジェクトに対応可能になりました。

GPT-5.2 は有料の ChatGPT プランを通じて順次提供され、API からのも利用可能です。価格は GPT-5.2 の入力が 100万 トークンあたり 1.75 ドル(約 273 円)、出力が 14 ドル(約 2,184 円)に設定されています。最上位の GPT-5.2 Pro はさらに高額ですが、OpenAIは性能向上によって価格上昇は正当化されると主張しています。

巨大な既存事業を抱えるGoogleとは異なり、OpenAIは最先端AIモデルの開発と提供が事業の核です。昨今、モデルの性能で先行する勢いを見せている Google や企業向けに圧倒的なシェアを誇る Anthropic に押されていますが、今回のリリースは、OpenAI が AI 業界のトップランナーとして、その覇権を渡さないという強い意志の表れと言えるでしょう。