OpenAI の自律型コーディング AI が競技プログラミング大会「AtCoder World Tour Finals」 で 2 位を獲得

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2025 年 7 月 17 日、東京で開催された AtCoder World Tour Finals で、 OpenAI が開発した自律型コーディング AI エージェントが 2 位となりました。この大会では「できるだけ良い近似解を見つける」ことを競うヒューリスティック部門が開催され、優勝したのはポーランドのプログラマー Przemysław Dębiak 氏(ハンドルネーム: Psyho )で、約 10 時間の激闘の末に AI を上回る結果となりました。

AtCoder World Tour Finals は、毎年東京で開催される世界有数の競技プログラミング大会です。各年の実績に基づき世界のトップ 12 名のみが招待される非常にレベルの高い大会で、今回は AI と人間の初の本格対決として大きな注目を集めました。

この部門では、 30×30 グリッド上でロボットをスタートからゴールまで最小の手数で移動させる課題が出題されました。壁を追加したり、ロボットをグループ化して移動させる戦略が求められ、完全な最適解を見つけるのが極めて困難な問題でした。参加者は制限時間内にできるだけ良いスコアを目指します。

コンテスト序盤では、 OpenAI の AI エージェントが圧倒的な計算スピードを活かして膨大な解法を試行し、トップを走り続けました。しかし、 7 時間目に Psyho 氏が人間ならではの柔軟な戦略と創造的なアプローチで AI を抜き去り、最後の 1 時間でさらにリードを広げました。

最終的な結果は、 Psyho 氏が約 1,812,272,558,909 点、 OpenAI の AI が約 1,654,675,725,406 点となり、 Psyho 氏が約 9.5% のリードで勝利しました。特筆すべきは、 Psyho 氏が今回の大会に前日わずか 1 時間しか睡眠をとっていないという極限状態で挑み、 AI ツールを一切使わず Visual Studio Code の基本機能だけで戦ったことです。

この結果について、 OpenAI は「 AI の推論能力をテストし、人間の創造性と AI を融合させる研究の一環」として位置づけ、「人間が今回勝ったことを祝福する」とコメントしました。競争ではなく協力の精神を強調する姿勢を示しています。

一方、 Psyho 氏は X で「人類が(今は)勝利した!」と喜びを表現し、疲労困憊ながらも人間の限界を超える努力が報われたと語りました。同時に、 AI と競うことで自分を高められたとも述べており、建設的な対決だったことがうかがえます。

今回の対決は、 AI と人間の能力がどこまで拮抗しているかを示す象徴的な出来事となりました。 10 時間のマラソン形式では、人間の持続力と即興性が AI を上回りましたが、 AI の序盤のスタートダッシュは非常に強力で、将来的にはさらなる進化が予想されます。

OpenAI の AI エージェントが世界最難関クラスの競技プログラミング大会で初めて自律的に 2 位となったのは画期的な成果です。同時に、この人間の勝利が「人類が AI を上回る最後の機会かもしれない」との見方も多く、今後 AI がトップを取る時代が近いという声も高まっています。