OpenAI 、アプリ開発支援企業 Statsig を 11 億ドルで買収

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OpenAI は 2025 年 9 月 2 日、アプリ開発支援企業「 Statsig 」を約 11 億ドル(約 1635 億円)の全株式取引で買収することを発表しました。この買収に伴い、Statsig の創業者である Vijaye Raji 氏が OpenAI の Applications 担当 CTO (最高技術責任者)に就任し、ChatGPT や同社の AI コーディングアシスタントサービス「 Codex 」のエンジニアリングを統括することになります。

Statsig は、2021 年に元 Meta エンジニアの Vijaye Raji 氏によって創業されたワシントン州ベルビューを拠点とする企業です。複数のバージョンを同時にテストして最適な機能を見つける A/B テスト、新機能を段階的にリリースする機能フラグ管理、ユーザーの行動データを分析するプロダクト分析など、企業がアプリケーションを継続的に改善するための統合プラットフォームを提供しています。同社は OpenAI 、Microsoft 、Notion 、Atlassian など 3,000 社超の企業に利用され、これまでに累計で 1 億 5,000 万ドル(約 223 億円)以上の資金調達を行い、ユニコーン企業として成長していました。

今回の買収は、OpenAI にとって過去最大級の投資のひとつとなります。Raji 氏は OpenAI 内で新役職につき、Fidji Simo 氏(Applications 部門 CEO 、元 Instacart CEO )の下で、ChatGPT と Codex の製品エンジニアリングを統括し、インフラや信頼性・倫理関連の責任も担います。Raji 氏は Microsoft 、Meta で大規模消費者製品のエンジニアリングをリードした経験を持ち、「 OpenAI のミッションに深く共感し、Statsig のツールで AI 製品をスケールさせることを楽しみにしている」と述べています。

この買収に伴い OpenAI は組織再編も発表しています。従来のエンジニアリング責任者だった Srinivas Narayanan 氏が B2B Applications の CTO に異動し、COO の Brad Lightcap 氏と連携して企業向けアプリケーションを強化することになりました。

OpenAI は最近、他にも 6.5 億ドル(約 967 億円)で AI ハードウェア会社の IO 買収や、データ処理に強みを持つ Rockset の非公開買収を進めるなど、積極的な M&A 戦略を展開しています。競争が激化する AI 市場で、製品のスケーリングと品質向上を図る狙いがあります。Statsig のアプリ開発サービスを自社に取り込むことで、ChatGPT や Codex などの主要アプリケーションの迅速な改良を推進し、安全かつユーザー重視の製品開発を加速させる計画です。

買収後も Statsig はベルビュー本社で独立して運営され、既存顧客へのサービス継続を優先するとしています。