OpenAI がジョニー・アイブ氏の AI デバイス企業「 io 」を 65 億ドルで買収、 2026 年に次世代デバイス発売へ

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OpenAI は、 Apple の伝説的デザイナーとして知られるジョニー・アイブ氏が共同創業した AI デバイススタートアップ「 io 」を約 65 億ドル(約 9,350 億円)の全株式交換で買収すると 2025 年 5 月 21 日に発表しました。この買収は OpenAI 史上最大規模となり、同社がソフトウェア中心からハードウェア分野への本格参入を意味します。

io は、ジョニー・アイブ氏が元 Apple のエンジニアであるスコット・キャノン氏、エバンス・ハンキー氏、タン・タン氏らと設立した企業で、約 55 名のハードウェアエンジニアやソフトウェア開発者、製造専門家で構成されています。 OpenAI は既に io の株式 23 %を保有しており、今回の取引で完全子会社化を実現します。アイブ氏本人やそのデザイン会社「 LoveFrom 」は OpenAI に直接所属しませんが、 LoveFrom が今後 OpenAI 全体のデザイン業務をリードすることになります。

注目すべきは、開発中のデバイスの特徴です。この新デバイスは「スクリーンレス」で「ポケットサイズ」とされ、従来のスマートフォンや PC とは根本的に異なる「 AI のためのデバイス」を目指しています。音声、ジェスチャー、予測 AI を活用し、キーボードやタッチスクリーンに依存しない自然なインタラクションを提供する計画です。 OpenAI の CEO サム・アルトマン氏は、このデバイスを「これまで世界が見た中で最もクールな技術」と表現し、 1 億台を「史上最速」で出荷する目標を掲げています。

今回の買収は、 AI 業界のハードウェア競争に大きな変化をもたらす可能性があります。 OpenAI は、 Apple や Google が支配する消費者デバイス市場で直接競合することになります。特に Apple にとっては、同社の元主任デザイナーが競合企業に加わることで、スマートフォン市場への長期的な脅威となる可能性があります。実際、買収発表後に Apple の株価は 2 %下落し、投資家の懸念を反映しています。

ただし、過去に AI デバイスは Humane の AI ピンなど、市場で失敗した例も数多くあり、成功は確約されていません。詳細な製品仕様は非公開で、競合他社による模倣を防ぐため情報が制限されている状況です。

最初の製品は 2026 年後半にも登場予定とされており、この買収が OpenAI に 1 兆ドルの価値を追加すると予測する声もあり、期待が高まっています。