Nvidia と AMD が、米国政府の承認を受けて中国向け AI チップの販売を再開する計画を発表しました。これは 2025 年 4 月以降に厳しくなっていた米国の対中半導体輸出規制の一部緩和を受けた動きです。
Nvidia の CEO ジェンセン・フアン氏は、米国政府から許可が下りるとの確約を得て、 AI チップ「 H20 」の中国向け販売再開を発表しました。 H20 チップは中国市場向けに設計された規制対応版で、従来の先端モデルより性能を抑えた AI 計算用 GPU です。 2025 年 4 月にトランプ政権が国家安全保障上の懸念から輸出許可を要求する制限を課し、事実上販売が停止されていました。
フアン氏は輸出規制が米国の技術リーダーシップを損ない、中国の AI 市場を Huawei のような国内企業に譲ることになると主張し、規制緩和を積極的に働きかけてきました。トランプ大統領との直接会談や北京での中国政府幹部との議論を重ねた結果、販売再開の保証を得ることに成功しています。
AMD も同様に、 MI308 チップの中国向け輸出許可申請が米国商務省によって審査され、承認され次第出荷を再開する計画を発表しました。両社とも米国商務省がライセンス審査を迅速化し、間もなく出荷を開始できると期待しています。
この販売再開は米中間のレアアース(希土類元素)に関する貿易交渉の一環とされており、両社の収益に大きな影響を与える可能性があります。中国市場は 2024 年に Nvidia 売上の 13% を占める重要な市場で、販売再開により同社の収益に数十億ドルが追加される可能性があります。発表後、 Nvidia の株価は 4.5% 、 AMD の株価は 7% 上昇しました。
一方で、この決定には批判的な声もあります。共和党のジョン・ムーレナー下院議員らは、これらのチップが中国の AI 能力を大幅に向上させる可能性があると警告しています。これに対し、ハワード・ラトニック商務長官は、米国が中国に性能を制限したチップのみを提供することで、米国の技術依存を維持しつつ、中国の国産技術開発を抑制する戦略だと述べています。
米国の狙いは、最先端 AI 半導体技術の中国流出を阻止しつつも、一部製品の販売を許可することで中国主要テック企業の米国製品依存を維持し、自国企業の競争力と収益機会を確保することにあると見られます。この販売再開により、 DeepSeek 、 Alibaba 、 Tencent などの中国テクノロジー企業は、 AI モデル開発において Nvidia のソフトウェアツールと互換性のある高性能チップへのアクセスを回復することになります。
この動きは米中間の貿易摩擦とテック覇権争いの一環であり、今後も安全保障と経済規制の間で各社の戦略見直しが続くと予想されます。 Nvidia と AMD の中国市場再参入は、米国が同分野でのプレゼンスを保持するという意味でも重要な意味を持つ決定となっています。
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メタディスクリプション: NvidiaとAMDが中国向けAIチップ販売を再開へ。米政府の輸出規制緩和を受け、H20とMI308チップの出荷再開。米中テック覇権争いの中での重要な動き。(124文字)