NVIDIAのCEOであるジェンセン・フアン氏は、CES 2025の基調講演で新しいGPUファミリー「RTX Blackwell」シリーズを発表しました。その中でも特に注目を集めているのが、”世界最速のGPU”と称される最上位モデルの「GeForce RTX 5090」です。
RTX 5090は、前世代のRTX 4090と比較して、CUDAコアが約33%増加の21,760基、メモリが33%増加の32GBのGDDR7メモリを搭載し、メモリ帯域幅は78%向上の1.792TB/sを達成しています。また、Blackwellアーキテクチャを採用し、920億ものトランジスタを搭載しています。
AI性能面では、第5世代のTensorコアにより処理性能が2.54倍向上し、第4世代のRTコアによりレイトレーシング性能も約1.67倍向上しています。ゲーム性能では、DLSS 4を使用しない場合でもRTX 4090を10-15%上回り、DLSS 4を使用すると最大2.45倍のパフォーマンス向上が期待できます。
RTX 5090の価格は1,999ドルで、2025年1月30日に発売予定です。より小型のPCBデザインを採用し、電力供給と熱管理が改善されています。ただし、575WのTDPを必要とし、システム全体で1,000Wの電源ユニットが推奨されています。
RTX Blackwellシリーズは、ゲーム市場だけでなく、AIやクリエイティブ分野のユーザーにも対応する製品として設計されています。フアン氏は、「BlackwellはAIのエンジンであり、PCゲーマー、開発者、クリエイターにとって最も重要なコンピュータグラフィックスの革新だ」と述べ、AIとグラフィックス技術の融合が今後のGPUの進化を牽引すると強調しました。
筆者の視点:2024年はデータセンター向けGPUが注目を集めましたが、今回、NVIDIAの本業とも言えるコンシューマ向けGPUの最新モデルが発表されました。特に注目すべきは、その性能向上です。データセンター向けのBlackwellアーキテクチャをコンシューマ向けに最適化し、大幅なパフォーマンス向上を実現しています。データセンター向けGPUはすでに安定した売上を支えていますが、裾野の広いコンシューマ市場が今後のNVIDIAの成長を牽引するドライバーとして期待されています。