加 Moonvalley が「クリーン」な動画生成 AI モデル「 Marey 」を発表 ー 著作権問題のない素材で学習

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カナダ・トロントで 2023 年に設立された Moonvalley は、 2025 年 3 月 12 日、映画制作や広告業界向けの AI 動画生成モデル「 Marey (マレー)」を発表しました。Marey の最大の特徴は、 100 % ライセンス取得済みまたは自社所有のデータのみを使用してトレーニングされた「クリーン」な技術であることです。著作権問題を抱える他の AI 動画生成モデルとは一線を画し、安心して利用できる点が強みです。

Moonvalley は Marey を映画史の先駆者エティエンヌ・ジュール・マレーにちなんで命名。特に映画制作者のニーズに応えるべく、 AI 映画制作スタジオ Asteria と 1 年間にわたり共同開発を行いました。著作権や品質の課題を克服し、プロフェッショナル向けの動画生成ツールとして設計されています。

Marey の主な特徴は以下の通りです:

  • 倫理的なデータ使用:クリエイターから直接ライセンスを取得し、適正な対価を支払ってデータを収集
  • ネイティブ HD 生成:高解像度映像を直接生成し、アップスケールによる品質劣化を回避
  • プロ向けワークフロー:テキストプロンプトに加え、ストーリーボードやライブアクションを参照して映像生成が可能
  • 精密な動きとカメラ制御:シーン内の動きやカメラワークを細かく調整可能で、風の流れや小道具の動きも設定可能
  • 30 秒までの映像生成:一度に最大 30 秒間の映像を生成

Moonvalley の CEO 、Naeem Talukdar 氏は発表の中で「クリエイターの作品を無断で使用せずに AI モデルを訓練できることを証明した」と述べ、「 AI 技術のリーダーとして、クリエイターの権利を守る新たな基準を確立する」と強調しました。

Marey の登場は、特にハリウッドやエンターテインメント業界にとって大きな意味を持ちます。従来の生成 AI モデルは著作権侵害のリスクが懸念され、企業やスタジオが導入をためらうケースもありました。しかし、Marey はその障壁を取り除き、クリエイターへの報酬支払いを組み込むことで、 AI との共存を促進するモデルとして評価されています。

現在、動画生成 AI 市場は OpenAI の Sora や Alibaba の Wan 2.1 などの競争が激化していますが、Marey の「クリーンなデータ使用」は一つの差別化要因となり得ます。実際の制作スタジオと協業し、現場の細かなニーズを汲み取ってアプリケーション設計を行なっている点も利点です。同サービスは現在招待制となっており、ウェイティングリストに登録することで順次アクセスが開放されています。今後も定期的なアップデートと新機能追加が予定されています。