元OpenAIの最高技術責任者(CTO)、ミラ・ムラティが、新しいAI研究会社「Thinking Machines Lab」を立ち上げたと発表しました。2025年2月18日にこれまでステルスで進めていた活動を公開し、AIを「もっとわかりやすく、使いやすく、全体的に優れたもの」にすることを目指しています。
この会社は、AIの柔軟性を高めること、しっかりした土台を作ること、科学的な情報をみんなで共有すること、という3つの柱を強調しています。今のAIはプログラミングや数学のタスクには優れていても、人間の多様な知識やスキルに合わせる柔軟性を持ち合わせていないと指摘し、人間と一緒に働ける多機能なAIを作ることに力を入れる予定です。
Thinking Machines Labにはすでに約30人の研究者やエンジニアがいて、AI業界で有名な人が複数参加しています。特に注目なのは、OpenAIの共同創業者で深層強化学習の専門家ジョン・シュルマン(主任研究員)や、ChatGPTを作った一人でOpenAIの元研究副社長バレット・ゾフ(CTO)です。社員の約3分の2は元OpenAIの人たちだと報じられています。
ムラティは2018年にOpenAIに入り、2022年にCTOに昇進、ChatGPTの開発をリードしましたが、2024年9月に「自分のやりたいことを探す時間を作りたい」と突然退社しました。彼女が辞めた時期は、OpenAIから他の幹部も次々と去っていたタイミングと重なり、Anthropic(ダリオ・アモデイらが設立)やSafe Superintelligence(イリヤ・サツケバーが設立)など、元幹部が新しいAI会社を作る流れにつながっています。
Thinking Machines Labは、すべてを自動化するAIではなく、人間と一緒に働くAIを作ること、コードやデータ、モデルの設計を公開するオープンソース戦略、安全性を考えたAI研究を進めることを特徴にしています。
資金調達の方法についてはまだ詳しく発表されていませんが、2024年10月の時点で1億ドル(約150億円)以上を集めようとベンチャーキャピタルと交渉中との噂がありました。現在も人材募集を継続していて、小さくても優秀なチームを保ちたいと考えているようです。
この会社の登場は、AI業界の競争をさらに熱くし、技術の進化を早めるかもしれません。また、ムラティが女性リーダーとして率いることで、AI分野に多様性をもたらすきっかけとしても期待されています。