Microsoft の Excel に新「 COPILOT 関数」機能がテスト導入開始

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Microsoft は、 Excel に AI 支援を直接セル内で利用できる新しい「 COPILOT 関数」のテストを開始しました。この機能により、ユーザーは自然言語のプロンプトを使用して、データの要約や分類、表作成などの作業を効率的に行えるようになります。

この COPILOT 関数は、 2025 年 8 月 18 日から限定的なテストが開始されました。現在は Microsoft 365 Copilot ライセンスを持つ一部のテストユーザー( Beta Channel ユーザー)のみが Windows および Mac 版 Excel で利用可能で、一般ユーザーへの提供時期はまだ発表されていません。ユーザーはセルに「 =COPILOT(“プロンプト”, セル範囲) 」と入力するだけで、 AI を活用したデータ処理が可能になります。

例えば、「 =COPILOT(“このフィードバックを要約”, A2:A20) 」と入力することで顧客フィードバックを自動要約したり、「 =COPILOT(“このデータを感情で分類”, D4:D18) 」で感情分析を実行したりできます。また、この機能は Excel の計算エンジンに統合されているため、元データが変更されると結果も自動的に更新されます。

従来の Excel 関数( IF、SWITCH など)との組み合わせも可能で、データの分類、要約、表作成、 SEO キーワード生成、ブレインストーミングなど、幅広い用途に対応しています。この機能は OpenAI の gpt-4.1-mini モデルを基盤としており、 2023 年に実験された LABS.GENERATIVEAI 関数の後継にあたります。

ただし、いくつかの制限もあります。外部データにはアクセスできず Excel 内のデータに関してのみ使用可能です。また、数値計算や法的・規制上の高リスクシナリオには不向きで、誤った応答(ハルシネーション)の可能性があると Microsoft は注意を促しています。

この機能の導入は、 Google が 2025 年 6 月に Google Sheets で類似の「 =AI() 」関数を導入したことに対する対応とみられ、生産性ソフトウェアにおける AI 統合の競争が激化していることを示しています。


筆者の見解:現在の制約には課題も見えます。外部データへのアクセス制限やハルシネーションの可能性はまだ許容範囲内と言えますが、 Excel の機能でありながら数値計算に対応していないということでは、使用範囲が大きく制限されてしまいます。 Google の「 =AI関数」も同様にテキスト処理のみの対応となっており、両社には早期に数値計算やレイアウト変更などを AI で行えるような機能拡張を期待したいところです。