マイクロソフトが「 MAI 」( Microsoft Artificial Intelligence )と呼ばれる新しい AI モデルファミリーの開発を進めていることが明らかになりました。この動きは、同社が OpenAI への依存を減らし、自社の Copilot スイートを強化するための戦略の一環とされています。
MAI は特に推論能力に優れたモデルとして設計されており、複雑な問題解決や論理的思考を強化するための「チェーン・オブ・ソート( chain-of-thought )」技術を活用していることが特徴です。内部テストでは、OpenAI の「 GPT-4 」や「 o1 」、Anthropic のモデルなど、業界をリードする AI とほぼ同等の性能を発揮しているとされています。
マイクロソフトがこの独自モデルを開発する背景には、複数の要因があります。まず、OpenAI のモデル利用にかかる高いコストを削減したい思惑があります。また、技術的独立性の確保も重要な動機です。OpenAI が最新モデル「 o1 」の技術詳細を共有しない姿勢を見せたことで、マイクロソフト内部に不満が生じていたと報じられています。さらに、Google の Gemini や Meta など競合他社が独自モデルを展開する中、マイクロソフトも自社技術でリーダーシップを維持する必要に迫られています。
すでに MAI モデルは Copilot でのテストが始まっているとされています。Copilot は現在、Microsoft 365 や Bing 検索、GitHub などに組み込まれた AI アシスタントで、主に OpenAI のモデルで動作していますが、将来的には MAI モデルへの置き換えが進む可能性があります。
この動きは OpenAI との関係にも影響を与えそうです。マイクロソフトはこれまで OpenAI に約 137 億ドルを投資し深い協力関係を築いてきましたが、2025 年 1 月には両社の契約条件が見直され、OpenAI がマイクロソフト以外のクラウドプロバイダー( Oracle など )を利用できるようになりました。
報道によると、マイクロソフトは MAI モデルのトレーニングを最近完了し、2025 年内に API として外部開発者に提供する計画も検討中です。
筆者の視点:マイクロソフトは昨年3月、DeepMindとInflectionの共同創業者であるMustafa Suleymanを迎え入れ、「Microsoft AI」という新部門を設立し、独自のLLM開発を進めてきました。今回、その成果が具体的に表れてきたということかと思います。
ここ数年、OpenAIとの関係は徐々に冷え込んできており、この動き自体はそれほど驚くことではありません。先日のAmazonの発表と同様に、マイクロソフトとしてはOpenAIの最新モデルを自社クラウドで利用できる選択肢を維持しつつ、収益面では独自の基盤モデルを推進し、そこで利益を確保していく戦略を取っているものと思われます。