MicrosoftとApple、規制当局の監視強化を受けOpenAIの取締役オブザーバーを辞退

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先日、AppleがOpenAIの取締役会にオブザーバーとして参加する可能性があるとお伝えしましたが、今回、MicrosoftとAppleの両社がその役割を辞退したことが報じられました。この決定の背景には、大手IT企業のAI分野における影響力拡大に対する規制当局の厳しい監視があるとされています。

Microsoftは、これまでOpenAIに約2兆円もの巨額投資を行い、WindowsやCopilot AIプラットフォームにOpenAIのサービスを組み込んできました。Appleも最近、OpenAIとの提携を発表し、iPhoneやiPadからChatGPTを連携する計画を明らかにしていました。

しかし、MicrosoftがOpenAIに及ぼす影響力について規制当局が懸念を示し、両社の独立性を証明するよう圧力をかけていました。今回の取締役会辞退で、Microsoftはその要求に応える形となりましたが、米連邦取引委員会(FTC)の懸念を完全に払拭するには至っていないようです。

MicrosoftはAI分野での支配的地位をめぐり、米国の規制当局から広範な調査を受けています。また、欧州の規制当局も、Microsoftに対してOpenAIの技術を独占的に使用していることについて調査を予定しています。

米国の大手IT企業はAI企業に多額の投資を行っていますが、規制当局は、クラウドなどのプラットフォームをすでに押さえている巨大IT企業が、最新の大規模言語モデルへのアクセスも独占してしまうことを強く警戒しています。

一方で、OpenAI社内の問題もMicrosoftとAppleの決定に影響を与えた可能性があります。OpenAIは最近、セキュリティ問題や幹部の離脱など、様々な課題に直面しています。両社は、これらの問題に巻き込まれるリスクを避けるため、取締役会へのオブザーバー派遣を取りやめたのではないかという見方もあります。