Facebookを運営するMetaは 2026年4月8日、AI研究部門「Meta Superintelligence Labs(MSL)」が開発した初のAIモデル「Muse Spark」を正式に発表しました。内部では「Avocado」というコードネームで呼ばれていたモデルで、将来的に個人向けの高度なAIアシスタントを実現するための第一歩と位置づけられています。
MSLを率いるのは、Chief AI OfficerのAlexandr Wangです。もともとAIデータ企業Scale AIのCEOだったWangは、MetaによるScale AIへの 140億3,000万ドル(約2兆454億円)の投資を機に、 2025年6月にMetaへ加わりました。MSLは、前世代モデルLlama 4が市場で期待外れの評価を受けたことを受けて立ち上げられた組織です。WangはOpenAI、Anthropic、Googleといった競合各社から計 11 名の研究者を引き抜き、約 9 ヶ月かけてAIの学習基盤をゼロから作り直しました。
Muse Sparkの特徴は、文章・画像・音声を一つのモデルで扱える点にあります。処理できる情報量も大きく、一度に約 26万2,000 トークンのテキストを読み込めます。また、用途に応じて使い分けられる 3 つの処理モードを備えており、素早い回答が必要な場合は「Instant」、じっくり考えて答えを出したい場合は「Thinking」、特に難しい問題には複数のAIエージェントが協調して取り組む「Contemplating」を選べます。処理効率の面でも、前世代モデルと同等の性能を 10 分の1以下の計算量で実現できるとしており、運用コストの大幅な削減が期待されます。
性能面では、医療分野での推論能力が突出しています。医療特化の評価試験「HealthBench Hard」では 42.8 点を記録し、競合のClaude Opus 4.6 Max( 14.8 点)やGemini 3.1 Pro High( 20.6 点)を大きく引き離しました。難問揃いの知識試験「Humanity’s Last Exam」でも GPT-5.4 Pro( 43.9%)を上回る 50.2% を達成しています。ただし、図形や記号を使った抽象的な思考を問う「ARC-AGI-2」では 42.5 点にとどまり、Gemini( 76.5 点)やGPT-5.4( 76.1 点)に大きな差をつけられています。プログラミングや自律的なタスク実行においても、まだ改善の余地があります。
現在、Muse Sparkは一部パートナー企業向けの限定提供にとどまっていますが、数週間以内にWhatsApp、Instagram、Facebook、Messengerなど、Metaが運営する主要サービスへの組み込みが予定されています。Wangは「今回はあくまで出発点であり、さらに規模の大きなモデルがすでに開発中だ」と述べており、Museシリーズの継続的な進化を示唆しています。
