Meta (旧 Facebook )は Mark Zuckerberg CEOが自身のSNS「Threads」などで 2025 年 7 月 14 日、複数の「マルチギガワット」 AI データセンターの建設計画を発表しました。第一弾となる「 Prometheus (プロメテウス)」が 2026 年に稼働開始予定であり、 AI 分野での突出した計算能力とリサーチ環境を確保するための超大規模インフラ投資として注目を集めています。
初のマルチギガワット・データセンター「 Prometheus 」は、オハイオ州ニューアルバニーに建設中で、約 1 ギガワット( GW )の電力規模を誇ります。第二の超大型施設「 Hyperion 」はルイジアナ州リッチランド・パリッシュに建設予定で、段階的に拡張され最終的に最大 5 ギガワットまで拡張される計画です。完全稼働は 2030 年を目標としています。
これらの施設に加え、その他の「 Titan Cluster 」も準備中で、面積はマンハッタン島に匹敵する規模となります。 Meta は AI 研究者 1 人あたりのコンピュート量で業界最大水準を目指しており、「スーパーインテリジェンス(超知能)」と呼ぶ、人間を超える性能の AI 開発を目指して数百億ドル(約数兆円)規模の投資を計画しています。
新しいデータセンター設計では、建設スピードを重視し、テント型の仮設施設やプレファブ冷却装置などを導入しています。従来の冗長性(バックアップ発電など)を削減することで迅速な展開を図る一方で、環境リスクへの懸念も指摘されています。オハイオ州では過去に 70 以上の竜巻が発生した地域であるため、テント使用の耐久性が問題視されています。
Meta は採用・人材戦略でも積極的で、 Google や OpenAI など AI 業界のライバルから優秀な研究者を積極的にヘッドハントしており、 1 億ドル(約 148 億円)超の契約条件の提示もあると報じられています。また、新設した「 Superintelligence Labs 」を通じて元 Scale AI CEO のアレクサンドル・ワン氏や元 GitHub CEO のナット・フリードマン氏などのトップ人材を採用し、 AI 開発を強化しています。
エネルギー源については、再生可能エネルギーと天然ガスを複合的に活用し、大規模な再生可能エネルギー契約の締結も進めるなど、サステナビリティ意識もアピールしています。一方で、ジョージア州の Meta 既存施設では郡の水供給の 10% に相当する消費実績があり、今後の環境インパクトへの懸念も高まっています。
Meta の今回の動きは、 OpenAI や Google などに先駆け世界最大級の AI コンピュート能力確保を掲げるものです。 2026 年に「 Prometheus 」が稼働すれば、世界で初めて 1GW 超規模の AI クラスターが実現し、 AI 開発競争はさらに加速する見込みです。この新インフラ構想は、 AI の産業競争軸が「研究モデル」から「巨大インフラ」へと移りつつある現状を明確に示しています。